「 AU WRC STE335 クルト・レーデル オットー・ビュヒナー ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 ヴィヴァルディ 四季」を通販レコードとしてご案内します。
これは楽しい演奏です。 ― クルト・レーデルの「四季」は、イ・ムジチを始めとする、かつてのオーソドクスな演奏を逸脱した名盤の一つです。独奏ヴァイオリンを受け持つのは、オットー・ビュヒナー。カール・リヒターの『音楽の捧げ物』であれほど崇高・謹厳な響きを聞かせた彼が、ここではレーデルの棒の下で、自由闊達に歌いまくっています。ERATOにはジャン=フランソワ・パイヤール盤があったため、なかなか日の目を見ることの少ない録音ですが、飽きずに聴き続ける人がそこそこいるのではないでしょうか。些か原楽譜からの逸脱もあるようですが、この演奏でそういうことを言うのは野暮というものでしょう。四季の移ろいが、斯くも明るく楽しいものであったら、人生は実に気楽なものでしょう。リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団等の演奏で、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの『ブランデンブルク協奏曲』全曲を聴いて、大変慰められました。いつ聴いても、素晴らしい演奏です。特に改めて思いましたのは、ビュヒナーの演奏の素晴らしさです。以前から思っていたのですがその音色とテクニックには、いつも感動すら覚えます。あの完全主義者とも言うべきリヒターの下で首席ヴァイオリン奏者をずっと務められるのですから、演奏家としての能力は折り紙付きで、だからこそリヒターも高く買っていたのだと思います。ピリオド楽器全盛の今であるが、リヒターの演奏はモダン楽器云々ということを離れて今でも高い評価を受けているので、ぜひ聴いて置くことを推める。リヒター盤のビュヒナーのソロは、ものすごく滑らかで、音の1つ1つがくっきりと明瞭で輝いている。バロック音楽を演奏するのにはピリオド楽器が当時の音に忠実であるという風潮から、モダン楽器排斥ともいえる状態が続いているが、きっとバッハはこうした音楽を理想としていたのではないかと感じる。『シャコンヌ BWV1004』で、ビュヒナーはルントボーゲン弓を使用していた。ルントボーゲンとは建築用語で、半円アーチ型の様式を示します。普通、弦楽器の弓は2本の弦を同時に弾くことはテクニックで出来ますが、半円弓だと4本の弦を同時に弾く、不可能を可能にします。弦楽器による、そのようなポリフォニー演奏は、既に16世紀後半からあり、その後バッハと同時代のヴァイオリン奏者ヨハン・パウル・ヴェストホフ(1665~1704)がポリフォニーのための記譜法を開発、パガニーニ(1782~1840)は彼独自の記譜法を使って、ご存知、鬼神性を発揮しました。本盤は〝ヴィヴァルディの四季〟だが、バッハの話から始めたのは、今日のような古楽研究に基づいたものとはだいぶ違う、戯れる要素は一切ない、堅実なヴァイオリン・ソロで整然としている〝ドイツ・スタイル〟のヴィヴァルディ。その点ではカール・ミュンヒンガー盤とも、また一味違う武骨なくらいだ。急速楽章は、節度を保って音符の1つ1つを明確に聴かせる、緩抒楽章でも遅すぎず、切り立ったリズムが演奏の特徴。自由な即興性を楽しませるものではなく、ベートーヴェン以降の、きっちり作り込まれたロマン派のヴァイオリン協奏曲にも聴こえる。これも一興。
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