「 GB EMI ALP1273-5 トーマス・ビーチャム ベルリン・フィルハーモニー管 ベルガー ヒュッシュ レムニッツ ロスヴェンゲ モーツァルト 魔笛(全曲)」を通販レコードとしてご案内します。
GB EMI ALP1273-5 トーマス・ビーチャム モーツァルト・魔笛(全曲)
商品番号 34-20072
通販レコード→英ラージ・ドッグ・セミサークル金文字、ラージ・ドッグ・セミサークル黒文字盤 二種混合
生命賛歌 ― 開戦前のナチス政権下のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団だというのに、ビーチャムの指揮が素晴らしい。それは格段に現代の感覚。蝋管や縦振動といったデバイスを経て機械式吹き込みから電気式吹き込みへ、トーマス・エジソンのアイデアからエミール・ベルリナーが発明した現在のレコードの原型は、SP→LPのフォーマット革命、モノラルからステレオ録音そしてデジタル録音~CDの登場、現在の音楽ソースのデータ化~配信ビジネスへと変容していきます。これらのニュー・メディアへの対応が迅速だった者もいれば、どうしても旧弊に囚われてしまった芸術家も多くいたことと思います。1930年代の半ばからから、モーツァルトのオペラの全曲録音が盛んになりました。グラインドボーン音楽祭で録音された「ダ・ポンテ三部作」と共に、このジングシュピール「魔笛」も録音されました。モーツァルトを知るための厳選10曲の1曲。モーツァルトが生涯に800曲ほどを作曲して『レクイエム』作曲中に若くして死んだことは知られるが、その実、劇場やコンサート、レコードでのレパートリーは限られている。モーツァルトのオペラは一度観劇すれば、どういうことを描いているかを理解しやすいものです。「魔笛」を歌うことを得意とした歌手も多かったでしょうし、録音を遺しても世間から忘れ去られた演奏家たちがたくさん活躍していたことが容易に窺い知れる。そうした事情の中で、現在聴くことが出来るレコードだけでしか価値を計れない私たちには想像もつかない色々な出来事があり、サー・トーマス・ビーチャムは幸いにもメディア変革の波にはうまく乗れたようで、最盛期から晩年までディスコグラフィーに恵まれますが、はたしてこの「魔笛」は今日名盤として聴かれているとは言い難い。ビーチャムと言う往年のこの指揮者をどれだけの人が好んでいるだろうか。でも、ビーチャムのテンポとしては遅めのように思いますが細部まで非常に丁寧に演奏していて、木管の美しさをくっきりと際立たせ、爽やかなウィットに富んだアレグロの煌めきとの間のコントラストはもっとも幸福に満ちたものである。落とし所を上手く歌わせ、リズムも快活なので聴き手は速すぎるという感じを持たないと思います。ビーチャムの音楽の造り方は、一つ一つの音を大事に扱い、真摯で厳かな雰囲気が随所ににじみ出ています。英国史上、ビーチャムの名声、威光、人気、議論好きの特質に比肩する指揮者は誰もいなかった。その演奏は世界各地で絶賛され、大富豪の家に生まれたビーチャムは、その持っていた財力をすべて大好きだった音楽に注ぎ込むことのできた幸福な人だった。本盤は、そのビーチャムがHMVの名プロデューサー、ウォルター・レッグとともにベルリンに赴いて録音されました。第2次世界大戦に突入していた1937年は英国にとってベルリンはどういう土地だったのか。録音には、モーツァルトのスーブレット役として大活躍したイルマ・バイルケなど、第三帝国時代のドイツを代表する歌手たちが参加しています。合唱には無名時代のエリザベート・シュヴァルツコップも加わっているそうです。この『魔笛』は、1938年に録音されたものなれども演奏だけを比べて聴いて、凌駕するレコードは存在しないと断言してよいくらい、歌手たちの名唱と伴奏をつとめるオーケストラの充実が高度にバランスよく揃っています。疾風のように始まり、この興奮に満ちたテンポで、あっという間にファンタジーオペラの世界に引きずり込まれます。そもそも人間世界を描かせれば右に出る者の無いモーツァルトのオペラだけあって、演者がみな人間臭いのも嬉しい限り。そんな戦前のベルリン国立歌劇場の連中を率いたのは件の怪物くんで、わざわざ英国から渡ってきたのがわかる棒さばきの冴えを見せます。ビーチャムは大変ユーモアを解するジョーク好きといわれていますが、演奏の時は考えていたより、ビーチャムの真面目さはどこか一寸違うと出だしから感じました。
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