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緑に囲まれ、ひっそりとしたエンゲ教会のオルガンで、幸福で充実したバッハ作品を聴く ― 作品番号で1000を超える楽曲を遺したヨハン・ゼバスティアン・バッハですが、バッハの創作の中でも非常に重要な位置を占めるのがオルガン曲のジャンル。バッハ自身がオルガンの名手であり、さらにオルガンを弾き、曲を書くことが仕事でもあったことから、教会用に書かれたコラールに基づくコラール前奏曲や、自由な素材に基づく前奏曲とフーガ、幻想曲、トッカータとフーガといったスタイルの作品が数多く作曲されました。スイス・チューリヒで録音された〝Chefs d’Oeuvre Pour Orgue à L’orgue De L’église Enge, Zürich〟と題された本盤では、そのうちの6曲を聴きます。1707年10月17日アルンシュタット近郊ドルンハイムの聖バルトロメオ教会でマリア・バルバラと挙式。翌年ワイマールへ移住しザクセン=ヴァイマル、ヴィルヘルム・エルンスト公の宮廷音楽家兼宮廷オルガニストに就任、加えてカタリーナ・ドロテーアが誕生するころの《前奏曲とフーガ ニ長調 BWV532》、《幻想曲とフーガ ト短調『大フーガ』 BWV542》、《トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564》、《パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582》に27のコラール集から《われ心よりこがれ望む BWV727》とヴィルヘルム・フリーデマン、カールフィリップ・エマヌエル誕生のころのオルゲルビュヒラインからの《われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ BWV639》のコラール2曲です。前奏曲とフーガや、幻想曲、トッカータとフーガといった自由な素材に基づく作品は、オルガニストとして有名だったバッハがその腕前を披露する目的も含めて書かれたケースが多く、ペダルの低音も駆使した荘厳なサウンドから輝かしい高音まで、幅広い表現が追求されている名曲が多いのが特徴です。一方、教会での礼拝の際、唱和されるコラールの前に演奏される目的で書かれた「コラール前奏曲」は、元素材が敬虔なコラールであることから美しいものが多く、バッハの内なる声の反映された名曲が多いのが特徴。1720年にマリア・バルバラに先立たれますが、バッハの250曲を数えるオルガン曲は彼女との結婚生活の期間に重なります。あらましは次のページ。
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