FR DECCA LXT2556 キャスリーン・フェリアー ジョン・ニューマーク シューマン 女の愛と生涯 ブラームス 四つの厳粛な歌

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34-12678

商品番号 34-12678

通販レコード→仏オレンジ銀文字盤

低音が安定していて、深い味わいを出している。最初から終わりまでほとんど変わりない遅いテンポで、しかも終曲を除いてはあまり劇的変化もないこの曲を、一貫した情緒で、じっとテンポを抑え、リズムを正確に歌うことは容易ではないし、また、漂うように起伏する表情が巧みに歌に出なかったら退屈になってしまうのであるが、キャスリーン・フェリアーはいささかも崩れず乱れず、良く表情を出して微妙な変化を与えているところ、非凡な歌手に違いない。昭和28年(1953年)のレコード芸術6月号で「亡き子を偲ぶ歌」推薦盤として初めて彼女のレコードを紹介している。シューマンの歌曲集《女の愛と生涯》に、私はフェリアーの優れた資質を見る。彼女を聴いて思うこと。楽器の音の美感は、多く人声を理想とする。そしてフェリアの声は、人の声の中でも、至高の美しさだった。フェリアーは1953年にわずか41歳の若さで亡くなりましたが、その馥郁たるコントラルトは不世出の声として歴史に刻まれています。フェリアーは録音でもブルーノ・ワルター指揮によるマーラーの「大地の歌」や「亡き子をしのぶ歌」の名唱は、今なお決定盤と称えられています。ワルターも彼女の声の資質を高く評価し残された「大地の歌」の録音のうち3回、彼女をソロに起用しました。フェリアーが当時有名な声楽教師であったバリトン歌手のロイ・ヘンダーソンについて学んだことも、清冽で暖かみを持ち伸びやかな彼女の歌声で、且つフェリアの歌唱技術は男声・女声の区別を超越した素晴らしさを持っていると、高く評価される所以でしょう。卓越した指導者のもとにあったとはいえ、天賦の才能で、音楽と詩のひと次元高い合一を成就させてしまう歌手もいないではない。私はフェリアーがそうした人だったと思っている。彼女の歌うヨハン・セバスチャン・バッハの「マタイ受難曲」は伝説的名演として語り継がれているものです。この録音は英デッカの企画で1947年にセッションが始まったのですが、当時としてはあまりにも大曲であったためか、彼女の契約の関係で年内に録音が完了することはなく完成はその翌年まで持ち越されました。この入念な準備に裏打ちされた演奏、もちろん完成度の高さには目を見張るものがあります。フェリアーの声はコントラルト特有の深い豊かな共鳴の中に清冽で透明感ある気品が漂うもので、本盤もその特徴が如何なく出ている。《四つの厳粛な歌》はクララ・シューマンの死も迫り、自分の死さえ近づき死への諦観、また愛の力による昇華・解放をこの歌に託したのでしょうか。完成後、数日後にクララが亡くなりブラームス自身も1年後に亡くなったのでした。この曲では随所にロマン的な色彩を残しながらもバロック的な様式をとっているといわれ、また1種の独唱オラトリオともいわれます。歌曲における金字塔、特にアルトのソロに男声合唱が重なってくるところなど非常に厳かな美しさを持っています。歌詞は全て聖書から採られた、とても重い曲ですが。絶望と苦悩に満ちた3曲目までと変わって4曲目では明るい曲調で「愛」について歌い上げるという、最後の最後に昇華、解放がもたらされます。数少ない録音の中でも彼女の深く柔らかい声で歌われる英国民謡は、子供を見つめる若い母親の眼差しのような優しさのこもったもの、ただ聞いているだけで、心の奥の軋んだ扉が開放されるような感動が広がってきます。数多い録音の中で、フェリアーのブラームスほど歌詞に秘められた悲しみ・憂いが粛々と表現されたものがあるでしょうか。シューマンで聴かせる喜び、悲しみもフェリアーの声にかかれば決して取り乱したものにはならず、余裕を持った趣で彩られたのでした。

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