「 FR DGG 2531 269 ロリン・マゼール ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 バルトーク 管弦楽のための協奏曲 2つの映像」を通販レコードとしてご案内します。
我こそがカラヤンの後任 ― ロリン・マゼールが、ポスト・カラヤンをめぐってベルリンを離れる前の良好な関係を築いていた時の充実した演奏。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の名人技を見事にドライブした《管弦楽のための協奏曲》はオーソドックスな名演である。デジタル直前、最終期のアナログ録音なので音質も良くバルトークの多彩な楽器が適度に分離されて素晴らしいレコードです。またマゼールの指揮もカラヤンの後継者は自分だと言わんばかりの素晴らしい演奏です。この演奏やイギリスEMIに録音したブルックナーの交響曲第7、8番を聴くと自負していた当時の気概が伝わってくる。最晩年のバルトークが、その作曲技術の粋を尽くして書き上げたオーケストラ機能のデモンストレーション曲ともいうべき「管弦楽のための協奏曲」は20世紀オーケストラ音楽の傑作。ベルリン・フィルを手兵としていた、ヘルベルト・フォン・カラヤンがその生涯でドイツ・グラモフォンへスタジオ録音を行なったバルトークのオーケストラ作品は「管弦楽のための協奏曲」と「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」の2曲だけでした。カラヤンの録音で一番充実しているのは1970年代後半から80年代前半の録音。「ベルリン・フィルを使って残しておきたい」と念願込めて再録音の多いチャイコフスキー、ドヴォルザーク、ベートーヴェンに対して1970年代の演奏は緊張感が違うと思う。円熟してカラヤン節の極みとでも言える。レコード録音の壺を先天的に把握していたカラヤンのオーケストラの鳴らしっぷりは、ダイナミック・レンジが非常に大きい。ノイズに埋もれないレコード録音の理想を手に入れて弱音部では繊細きわまりない音楽を作り出し、強奏部分では怒濤の迫力で押してくる。その較差、落差と云ってもいいのかな、他の指揮者ではなかなか見られないカラヤン流の演出。ベルリン・フィルの迫力も頂点に達している。カラヤンとの因縁深いマゼール。現代音楽作曲家でもある資質と卓越したヴァイオリンの腕前といった、カラヤンがコンプレックスを抱えていた才能のある ― アンネ=ゾフィー・ムターがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との録音でチェンバロを弾き、《ヨーロッパ讃歌》を作曲したのがカラヤンの抵抗だったとしたらマゼールはなかなかの存在だったと思える ― 指揮者マゼール。冴えた閃きでカラヤンの苦手としたレパートリーを攻めてくるのだからたまらない。しかもそれが、カラヤンに負けない変態ぶり。後世に残す手本と成る録音を残そうと頑張っていたカラヤンには、そうしたマゼールの気ままぶりも辛抱ならなかったかもしれない。1974年の「管弦楽のための協奏曲」はローター・コッホ(オーボエ)、ジェームズ・ゴールウェイ(フルート)、カール・ライスター(クラリネット)、ゲルト・ザイフェルト(ホルン)、コンラディン・グロート(トランペット)など、木管・金管に綺羅星のごとき名手を擁していた時期にあたり、ちょっとしたソロにも入魂の名人芸が披露され、パート間のバランスも完璧なまでに整えられたベルリン・フィルの機能が極限まで発揮されたバルトークだった。そのジャケットに使われている革ジャンを着たスタイリッシュなカラヤンのイメージに、まさに相応しい豊潤・流麗なバルトーク演奏盤があるが、絶頂期のベルリン・フィルでしか成し得ないゴージャスな響きが見事に捉えたEMIの録音だった。その超弩級盤に真向から挑んだマゼールの気概。個々の楽器が当然のように巧いし、全体がよく揃っている。録音は基本は自然な音場のワンポイント録音と思うよう広がりがあるドイツ・グラモフォンのサウンドだが、マルチマイクが拾う「聴かせたい」パートを前面に出す、かなり思い切ったデフォルメも、そこここで聴かれミキシングの成したことかとさえ想像させる。マゼールは天下のドイツ・グラモフォンのエンジニア・チームさえ、ねじ伏せてしまっている。カラヤンの録音から5年経ち、マゼールはこの時49歳。カラヤンとの演奏にはないベルリン・フィルの新鮮な魅力を聴かせた。名演、優秀録音ひしめく中で、当盤も手堅く色褪せることはない。マゼールといえばDECCA録音ばかりが注目されがちだが、二度と帰らぬドイツ・グラモフォン黄金期の録音。音質も抜群に良い。
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