DE DGG 2740 203 カール・ベーム シュターツカペレ・ドレスデン オジェー グリスト シュライアー ノイキルヒ モル モーツァルト 後宮からの逃走

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34-10109

商品番号 34-10109

通販レコード→独ブルーライン盤

皇帝が望んだ本格的なドイツ語オペラの理想。 ― モーツァルトは余程イタリアオペラから脱却したオペラとでもいうべきものを作りたかったらしい。この歌劇《後宮からの誘拐》は、ドイツ語によるジングシュピール(Singspiel, 歌芝居や大衆演劇)全体の筋の展開が速く、わかり易いし、登場人物も愛すべき性格の持ち主ばかり。でも音楽は非常に個性的だ。亡国に連れ去られた恋人を救出する青年のアクション映画だと思ってみると親しめる。若きモーツァルトの才気が発揮され、歌は技巧的で長大、オーケストラも単独でソロを浮き立たせながら演奏する場面も多い。のちの三大オペラに比較すると、たしかに〝音が多すぎる〟という初演当時の評価には頷ける気がする。モーツァルトが活躍した当時、流行の「トルコ風」のリズムや旋律が多用される打楽器の絢爛たる活躍も聴きものだ。台詞の部分を歌手でなく舞台俳優が担当しているのは、ドイツ・グラモフォンの定石。生き生きとした演劇的気分を生みだそうとしているのだろう。カール・ベームの指揮は、哲学的な意味を含んで演奏していると云うよりは、歌劇場と云うよりは芝居小屋に相応しい感じで話が進む。ベームならではの引き締まった表現を聴かせている。隅々までしっかりと分厚く音を鳴らしている。いつものようにテンポは遅め、意識して喜劇性を強調しているところはないが劇的なところは遠慮なく音を出す。オーケストラがシュターツカペレ・ドレスデンということもあり、ウィーンの甘さは有りませんし、人によっては堅苦しく感じるかもしれませんが、ドレスデンのオーケストラから引き出しているのは、ベルリンやウィーンのそれとはちょっと違う、木質の溌剌とした明るい響きが感じられる。それらを増幅しているのが配役だ。のびのびとした美声のペーター・シュライアー、品格とスケールのあるアーリン・オジェーに、一度聴いたら忘れられない、その声自体にコケティッシュな魅力の溢れるレリ・グリスト。ドレスデンの響きの豊かなルカ教会は、表情豊かにヨハン・ゼバスティアン・バッハのカンタータをよく録音していた歌手たちには親しみある場所。全体的に極めてドイツ的な演奏で、それが逆にドラマの真実味が向上したかのような迫真性を感じさせます。わたしは《後宮からの誘拐》を聴く度に、オペラ革命の軍配をモーツァルトに上げたくもなる。やっぱり音楽こそ魅力の根源で、舞台装置や演出の妙はそれがあってこそ生きるものだと思いを強くするからだ。

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