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クーベリックの清楚で無垢な表現が白鳥騎士の物語に適性を見せたスケール感のある雄大な ― LPレコード時代には優秀録音を誇っていた。 ― ラファエル・クーベリックには「その音楽は概して中庸で、素朴な味わい云々」といった評が付いてまわる。商業録音の成果に関して多く言われていたことで、音楽的特質においてクーベリックは一種ヴィルヘルム・フルトヴェングラー的な気質を持っていたとされ、個性的だが、あざとくないアゴーギグ。例え方を変えれば、演歌すれすれの泣き節。激しくも気高い情熱。心憎いまでの絶妙な間の取り方。そしてオーケストラとの阿吽の呼吸。ザックバランな言い方をすれば、ぶっ飛び破廉恥演奏ではないが、間違っても退屈な優等生演奏ではない。かえって要所要所で「おっ、おぅっ」と仰け反らされるテクニシャン。とはいえ、それも絶対的な安心感で身を任せていられる。全体的に湧き立つような早めの推進力のあるテンポが採られ、その中で野卑にならないギリギリのところで見事な緩急が付けられています。細部の彫琢は入念に整えられており、ちょっとした打楽器や木管のアクセント一つが意味深く響き、対旋律が埋没することなく絶妙なバランスで引き立つよう目配りされている。熱狂と哀愁とが絶妙に交錯する作品の本質を、あくまでも自然な流れの中で描き出す手腕は全盛期のクーベリックならではといえるでしょう。まず歌手が往年のスターばかりで大変感動的な歌を聞かせます。ジェイムズ・キングのローエングリン役、グンドゥラ・ヤノヴィッツのエルザ役はそれぞれのベストと評価も高く、グィネス・ジョーンズのオルトルート役も強烈、さらにトマス・スチュアートのテルラムント役と名歌手たちが揃い、筆頭は物語世界でも疑いなくハインリヒ国王のカール・リッダーブッシュと、キャストの充実ぶりで有名な録音です。クーベリック盤が何より出色なのは、エルザを歌うヤノヴィッツ。ワーグナーの諸役としては、決して重量級ではないのも幸いしてか。これがロマン派のひとつの典型であることを知らしめるものでした。
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