FR CASSIOPÉE 369 209 エリック・ハイドシェック ヘンデル・組曲9・11・12・14番

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34-7158

商品番号 34-7158

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暖かい部屋で静かにゆったりと聴いて頂きたい。 ― お目当てはスタンリー・キューブリック監督が、18世紀のヨーロッパを舞台に撮り上げた1975年のイギリス映画『バリー・リンドン』で使われて有名になったクラヴィーア組曲第2巻第4番 ― 本盤では第1巻からの通し番号で数えた第11番の《サラバンド》からでも構わない。故キューブリックは映画の中で本当に巧妙に知られざるクラシックの名曲を用いて驚かせてくれますが、この曲も主人公の悲劇的な後半生を象徴するかのように、太鼓を伴ったオーケストラに編曲されていて、重々しい葬送の曲のように扱われていました。ヘンデルのこの《サラバンド》は、その引きずるようなリズムがほとんど「フォリア」のように響きます。ある意味単純なのだが、無駄なものが極力省かれている所がどこまでも美しい。人には言えぬ深い哀しみや苦しみを抱えて心が疲れてしまった大人に、冬のひと時、暖かい部屋で静かにゆったりと聴いて頂きたい一曲である。ヘンデルはこのテーマに2つのドゥーブル(変奏)を加えていますが、エリック・ハイドシェックはさらに自身のオリジナルの変奏を加えていて、計7つもの変奏が続きます。《サラバンド》のテーマは弱音でサラッと弾かれていて、そこがたまらなくお洒落だ。前向きで人間的なタッチのピアノが素晴らしい。鍵盤奏者には鬼才と呼ばれる演奏家が存在する。しかしその演奏は作品に新たな光を当てる素晴らしい内容であることが多い。バッハにおけるグレン・グールド、ラモーにおけるスコット・ロスなど。その流れから言うとヘンデルはさしずめハイドシェックということになるのではないだろうか。とにかく魅力的な弾き方である。思わず最後まで惹きつけられるアルバムだ。エリック・ハイドシェックはヘンデルの組曲が好きらしく、アンコールでもしばしば何曲かを取り出して演奏しています。ハイドシェックらしい自由気ままなヘンデルには独特なチャーミングな魅力があり、ヘンデルへの思い入れに納得がいきます。その幸せな愉悦感に聴き手側も十二分に癒される。ハイドシェックはヘンデルの組曲から、バッハとはまた異なる後期バロックの鍵盤音楽ならではのよい意味でのBGMのような幸せな寛ぎ感を引き出しています。ヘンデルの組曲は、バッハが時折、メカニカルに感じられるほどに、ヘンデルの音楽は、たいへん自在でファンタジーに満ちている。なんて美しく切ないのだろう。やはりチェンバロよりピアノが似合っている。この曲集の各曲の冒頭を聴くだけでも、ヘンデルの素敵なセンスがご理解いただけると思う。ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルは1685年2月23日ドイツ生まれ。バッハとは同い年であり、オペラやオラトリオ曲、教会音楽、管弦楽などの器楽作品まで実に膨大な数の作品を書き上げている。ヘンデルの活躍したバロック時代は、まだピアノが生まれる前であるから、ピアノ用のヘンデルの作品は、すべてチェンバロ用に書かれたものである。そんな中で馴染みのあるのは「調子の良い鍛冶屋」だろう。この曲はソナチネ程度のテクニックがあれば弾きこなせるが、《サラバンド》は、ソナチネどころかバイエル終盤レベルでも弾けてしまう作品だ。似たことにオラトリオ『メサイア』の合唱曲はどれも非常に簡明な技法で書かれており、バッハのような技巧的複雑さが無いにもかかわらず、あらゆる感情に訴えかけ神々しいまでの荘厳さを醸し出していた。このヘンデルでも、グレン・グールドが唯一チェンバロで録音した第1巻からの抜粋(第1番~第4番)の、わざとギクシャクとさせたオドロオドロしい演奏を聴き比べてみると、端正で単純であることから生み出される絶対的な美しさ。それがヘンデルの魅力である。

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