「 NL DECCA SXL6620-2 ロリン・マゼール クリーヴランド管弦楽団 プロコフィエフ ロメオとジュリエット(全曲)」を通販レコードとしてご案内します。
凛と輝く一輪のバラの薫り ― 恋愛の本質を突きつけるロリン・マゼールの若い時代の代表的な音盤であって、アカデミー賞など数々の賞を受賞した全曲盤の本命。クリーヴランド管弦楽団に就任して矢継ぎ早に行なった録音のひとつで、同オーケストラとの最初の優れた業績といえる。全曲盤で長いが音楽だけで愉しい時を過ごすことができる。主人公たちの性格描写の的確さなど、マゼールの才気が輝いている。マゼール40歳代前半の録音で数日で全曲収録されたとは思えないくらいに一つ一つの曲の出来は均一で、曲間の繋がりは自然です。チャイコフスキーの《ロメオとジュリエット》より心の内面を表現した20世紀最高のバレエ音楽の傑作のひとつ。マゼールは音楽の本質を見極めながらプロコフィエフが音楽に託したバレエ音楽としての華やかさ、物語性、それぞれの場面、情景が持つ描写性を上手に引き出しています。その主人公の性格描写の中で極めて魅力的なのは第1幕最後の「バルコニーの光景」でしょうか。ジュリエットの愛くるしさ、美しさ、健気さ、そして強さを感じます。オルガンでジュリエットの思いを奏でていますが、ゴージャスなサウンドによるロマンティックさというよりは流麗と洗練の上に輪郭のはっきりした、凛として輝く一輪の薔薇の香り。愛の主題、ジュリエットの主題などの美しいメロディ、決闘シーンなどなどプロコフィエフの個性的ながらも親しみやすい旋律と生彩にとんだシャープなオーケストレイションを甘ったるく捲れた花びらから香りが滴っているのではなく、マゼールらしさとして特筆される筋肉質の演奏。ストーリーに沿った劇的な解釈や濃厚なロマンティシズムとは無縁な演奏なので期待を裏切るかもしれませんが、裏切られても後悔を感じさせない。マゼールらしい客観性、俯瞰性はここでも多いに発揮されています。細部まで緻密に彫琢しつくすマゼールの指揮が冴え渡りキレのあるシャープな表現とそれに応えるクリーブランド管弦楽団の非常に上手い演奏技術が相俟って、実に見通しよく、また一瞬たりとも緊張感や演奏が弛緩することがないオーケストラの魅力が心ゆくまで堪能できます。録音はマソニック・オーディトリウムで今でも十分新鮮。ホールトーンも心地よく、パーカッションは張りがあり、金管は輝く。第2幕の3曲目「5組の踊り」では行進が右から左に移動する情景がわかりやすい。DECCAのメリハリある音作りも、この演奏によく合っています。特に様々なニュアンスが交錯する場面での立体的な響きは実に見事な優秀録音です。本盤では楽曲のサブタイトル、場面割りは Soviet State Publishing House から刊行された《プロコフィエフ全集第8A・B巻及び第9巻》1961年版によっており場面転換の数が増やされています。
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