「 GB EMI SLS836 ポール・トルトゥリエ エリック・ハイドシェック ベートーヴェン チェロ・ソナタ全曲」を通販レコードとしてご案内します。
〝音楽を弾く〟ことは、録音から半世紀経った聴き手にも演奏会に立ち会っている錯覚に誘うのだろうか。 ― レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジがショパンの前奏曲第4番 ホ短調をプレイしているが、本盤のコピーバンド ― 昨今ではトリビュート・バンドのギタリストで、好き勝手なアドリブを得意げな輩も多い。しかも、先達のフレーズやパフォーマンスを自己流に弾き倒して個性だと主張しているように思える。芯の太い音色で、それに伴う音色、表現の微妙な変化、自然とトルトゥリエの世界に誘われます。1990年にチェロに凭れ掛かったまま逝去していたという孤高のチェリスト、ポール・トルトゥリエ。〝音楽を弾く〟ことは、録音から半世紀経った聴き手にも演奏会に立ち会っている錯覚に誘うのだろうか。トルトゥリエの演奏は音楽に没頭するのではなく、その力みのないさりげない演奏は作曲者の意図を冷静に客観的に楽しみたい時に、まさにピッタリ。円熟の巨匠の手になる、落ち着いたテンポによる、端正かつ的確な解釈の気品と余裕に満ちた演奏です。良い意味でリラックス、楽しんで弾いている空気感が録音から伝わってきます。彼の音楽に対する姿勢は、一音一音の、音の長さ、強弱、運指、弓の動き、それらを微細に探求されていながら、そして最終的に大きな目で見てみると驚く程全てが美しく構成されているということがよく分かります。それだけでなく、松脂の飛び具合がよりストレートになっている感じ。1960年代後半の録音。チェロがスピーカーの中心に定位し、トルトゥリエがあなたのために私設演奏会を開いてくれているようです。この録音当時、トルトゥリエは60歳を目前、ハイドシェックは30歳代後半。ハイドシェックは時々、この偉大な音楽家との共演の思い出を語る事があります。「偉大な先輩音楽家と共演するという素晴しい機会に恵まれた自分は、しかしながら30歳近くも歳の離れたトルトゥリエに生意気にも意見する事があった…」と語るハイドシェック。いかにも音楽に直向なハイドシェックらしいエピソードだと思います。
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