「 DE DGG 2709 029 カール・ベーム イヴリン・リアー パトリシア・ジョンソン ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ ドナルド・グローベ ベルリン・ドイツ・オペラ管 ベルク ルル」を通販レコードとしてご案内します。
奔放な女性ルルへの深い共感 ― 未完の傑作として名高い〝ルル〟は20世紀オペラでも12音技法を駆使した大変な難曲。然しカール・ベームの演奏は少しも難解に聴こえてこない。寧ろリヒャルト・シュトラウスの延長上のような甘美なロマン性に溢れた情感が濃い、その自然さが魅力だ。ベームの20世紀演奏史における比類なき偉業の一つにベルクの作品普及への貢献が挙げられる事は間違いあるまい。特に『ヴォツェック』と『ルル』の2つの歌劇は偉大なる先達エーリッヒ・クライバーが働き盛りで急逝した事もあり、ベームが絶対的権威として世界にその存在感を誇っていた。これに対し、鬼才の管弦楽作品に関してはそう積極的に採り上げたとは言えない様だが、しかしベームの演奏するベルクが他の追随を許さぬものを持っていた事は確かであろう。〝ルル〟は未亡人ヘレーネがベルクの師シェーンベルク以外の補筆を禁じ、完成していた2幕までと「ルル組曲」の抜粋という形で初演されたが、後半に書いているので先にそちらを読んでから、ここに戻ってきてもらうと話がスムーズだ。20世紀前半の音楽史に重要な功績を残した新ウィーン楽派の作曲家たちのなかで、アルバン・ベルクはある意味で特異な存在だったと言えるだろう。後期ロマン派から無調へ、さらに12音技法の創始者として、時代を切り開いていった師シェーンベルク。師の世界をさらに推し進め、前衛の時代の絶対的な規範となった盟友ウェーベルン。しかしながら彼らの道のりは同時に、20世紀の音楽が抱えることになった問題、すなわち聴衆との断絶を広げるものだった。そのなかでベルクはオペラ《ヴォツェック》によって興行的な成功を手に入れ、ストラヴィンスキーの《春の祭典》が20世紀音楽の古典と呼ばれるのと同じく、ベルクの《ヴォツェック》は1925年のベルリン初演以来、20世紀オペラの古典と評される。「歌う声による伴奏付き大オーケストラのための交響曲」となってしまった楽劇から、オペラを「退屈な劇」とすることなく、「人間の声に仕える芸術形式」へと取り戻すこと。そこにはオペラ作曲家としてのベルクの信念があった。そのために2作目のオペラである《ルル》にも、より拡大されて受け継がれている。ベームは20世紀半ばから後半のドイツ・オーストリア音楽界にこの人あり、と謳われた名匠です。1917年に指揮者デビューしたが、その頃はグラーツ大学で法律を専攻し、1919年に博士号もとっている。1921年からバイエルン国立歌劇場の指揮者として研鑽を積み、ダルムシュタット歌劇場、ハンブルク国立歌劇場の音楽監督を歴任。1933年にはウィーン国立歌劇場でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮してデビュー。1934年にはドレスデン国立歌劇場の音楽監督に就任。ベームが世界的に名声を得るようになったのは第2次世界大戦後の、LPレコード時代になってからのこと。ウィーンを中心に活動し、欧米各地で客演。1954年にウィーン国立歌劇場に復帰したが国外活動が多いとの批判を浴び2年間で辞任。それ以降は特定のポジションに就かず、世界の主要な音楽祭やオーケストラ、歌劇場で活躍した。主要なレパートリーはブルーノ・ワルターの薫陶を受けたモーツァルトやワーグナー、作曲者と親交があったベルクやリヒャルト・シュトラウスなど、独墺ものを得意とし名盤も数多い。バイエルン国立歌劇場では音楽監督だったワルターから、モーツァルト演奏についての多大な影響を受けたとされる。細部をおろそかにしない、地に足のついた演奏でありながら独特の推進力がある。ベームならではの質実剛健なアプローチが作品本来の味わいをよく引き出しています。
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