「 GB FONTANA CFL1005-6 トーマス・ビーチャム レイズベック シンクレア クレイグ ボイス ロイヤル・フィルハーモニー管 ディーリアス 人生のミサ」を通販レコードとしてご案内します。
マスターテープが紛失または損傷しているという話があったレコード。 ― 無宗教を貫き終生リアリストであったディーリアスの、それでも魂を揺り動かすようなこの合唱曲は平和な時代を生きる私たちにも深い感動を与えてくれる。リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」と同じ題材で、ニーチェの言葉からフリッツ・カッシーラが選んだものをテキストにして、ドイツ語で歌われる。リヒャルト・シュトラウス作品と異なりリリカルが優るが、冒頭の力強い音楽はディーリアスの他の作品にはない迫力がある。英国史上、サー・トーマス・ビーチャムの名声、威光、人気、議論好きの特質に比肩する指揮者は誰もいなかった。人物はひどく明るく、才能があり、驚くほど豊かでした。 彼は自分が望むものを何でもやっていたかもしれない。ビーチャムはディーリアスの作品の伝道者としても知られていた。ディーリアス存命の頃から盛んに演奏会で取り上げ、レコード録音も行っている。ビーチャムはディーリアスの臨席を得て、《人生のミサ》のリハーサルをしていた。いつものように、サー・トマスはスコアを使わず暗譜でやっていた。ある個所で、ディーリアスが訂正してほしいという意向をジェスチュアで示した。さっそくビーチャムは使いの者を出して自邸からオリジナル・スコアを取り寄せた。さてスコアに当たってみると、ビーチャムが正しいことが明らかになった。そこでリハーサルを進めながら、ビーチャムはディーリアスに向かってこう言った。「フレデリック、マイ・ディア・ボーイ。ご自分の曲を、わたし同様に、覚えてくれると有難いがね」。皮肉屋の代表的存在のエピソードだが、ビーチャムの音楽に対する姿勢、記憶力の確かさが態度に現れたものだろう。その演奏は世界各地で絶賛され、大富豪の家に生まれたビーチャムは、その持っていた財力をすべて大好きだった音楽に注ぎ込むことのできた幸福な人だった。彼は主に今のEMIに録音していたが、戦後はアメリカのコロムビアにも録音を行っている。本盤はそんな中の一つである。ソプラノ、アルト、テノール、バリトン全ての独唱者を必要とするが、決して独唱主導にはならず合唱と管弦楽と巧みに絡み合って、ディーリアスの鮮やかな手腕が冴える。支援者であり紹介者であり、それ以上に「ファン」であったビーチャムならでは、その機敏な棒と鋭くも暖かい音色によって輪郭の明瞭なディーリアス像を描き出す。ホルンの首席にはデニス・ブレインが座っていたと思われる。ブレインは1954年4月まで、このロイヤル・フィルともう一つフィルハーモニア管弦楽団と兼務で活動していたようである。トロンボーン・テューバなどの低音楽器の動きもモノラルながら鮮明に聴こえてくる。
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