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雪が融け、到来する春を言祝ぐような音楽。 ― 二人の巨匠が同時に颯爽と登場する瞬間はゾクッと肌の毛が逆立ってしまうほどの感動を覚えます。太くて深々としたダヴィッド・オイストラフ、輝くように躍動するアイザック・スターン。ユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy)が率いるフィラデルフィア管弦楽団の〝フィラデルフィア・サウンド〟の美麗な弦楽アンサンブルの音。東西両巨匠のオイストラフとスターンが第1、第2ヴァイオリンを2曲ずつ分け合った、まさに夢の競演というに相応しい演奏。「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」(RV514)、「2つのヴァイオリンのための協奏曲ハ短調」(RV509)、「2つのヴァイオリンのための協奏曲ト短調」(RV517)、「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ長調」(RV512)の4曲を交互にソロをとっています。最近発売されたCDとは、順番が異なり。二人の演奏スタイルの違いを聴き比べることも興味深いものですが、なによりも両巨匠の貫禄がせめぎ合い切磋琢磨し、驚くべきことに長年共演してきたかのように息の合った演奏を聴かせます。そして、協奏曲の伴奏が巧いオーマンディだけに2人のヴァイオリニストの長所を引き出す名人芸は実に素晴らしい。バロック音楽のオーセンティシティよりも、フィラデルフィア管の充実したストリング・サウンドの魅力と凄さを伝えるアルバム。バロック音楽ブームの誘い水となったと言っても過言ではない、〝LPレコード初期の名盤〟の誉れ高いアルバムです。オーマンディとフィラデルフィア管コンビの、規範的な良き演奏イ・ムジチ合奏団が一世風靡したバロック音楽を受けて立った巨匠たちの風格を聴こう。強力な〝フィラデルフィア・サウンド〟を前面に立てての華麗な演奏といったイメージも根付いているが、細密画を描くがごとく緻密で、各曲別に性格づけを考えぬいたような周到な演奏。リスナーを無条件に魅了する「明るき音響美」よりも、少し型にはまった形式美を追求しているようにも感じる。オーマンディは、ソロパートでもトゥッティでも自在にスクランブルして見事な音楽を奏する。「手兵」フィラデルフィア管にとって、親和性のある楽曲表現に大いに自信をもっていたことだろう。オーマンディは、しかし、そのレヴェルにとどまらず、さらにより高き目標にオーケストラを引っ張っていこうという意欲があったのかも知れない。その試みはオーケストラに一層の緊張感をあたえ、慎重な運行はより各パートの至芸を際立たせている。アメリカ・コロムビアレコードならではの〝360ステレオ・サウンド〟の鮮明なサウンドも聴きごたえたっぷりです。
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