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ミュンシュ畢生の名演。 ― はち切れんばかりのスケール、破格の熱量。ミュンシュの死の年に録音された、パリ管弦楽団(Orchestre de Paris)との〝幻想交響曲〟と並ぶ名盤のひとつ。数ある〝ブラームスの第1交響曲〟のディスクの中でも、最も迫力に満ちた演奏として知られる名盤。そのテンションの高さは、ミュンシュという指揮者のパーソナリティと、それに心から賛同し、全員一丸となって演奏するオーケストラのパフォーマンスがあって初めて実現したと言えるもので、このエネルギー・レヴェルの高さがもたらす稀有な高揚感、陶酔的な感覚にはやはり特別な魅力が備わっています。シャルル・ミュンシュは音楽が持っているストーリー性を、物語の様な視点で語りかけてくる。それが度を越すケースが多いのだけど、熱を持って表現する。もちろん劇的な部分だけが凄いのではありません。中間2楽章での柔和な美しさを湛えた色彩豊かな演奏には、その前年までパリ音楽院管弦楽団メンバーとして活躍していた名手たちの腕前が如実に反映されています。〝ベルリオーズの幻想交響曲〟と〝ブラームスの第1交響曲〟でのミュンシュがドライヴする〝パリ・コンセルヴァトアール〟(Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire)の燃焼ぶりは永遠に色褪せることがない。その長い指揮棒をダイナミックに振りまわす独特の指揮スタイルは、楽員を鼓舞する力に長けており、ベルリオーズやブラームス、ベートーヴェンの作品などで、情熱たぎるパフォーマンスを実現することに成功していました。〝幻想交響曲〟に続き翌1968年1月に録音されたミュンシュ最後の録音の中の一枚となってしまいましたが、この交響曲でも、ミュンシュ&パリ管の熱い息吹は止むことがありませんでした。ミュンシュの情熱が音として表れていて力強く、情熱に満ちたヴィルヘルム・フルトヴェングラーを彷彿とさせる白熱した内容でオールドファンからの支持が高い。発売の告知は話題となり、当時から絶賛を浴びた、未だにこの曲のベスト・ワンとされている。多くの評論家により人気投票される ― レコード芸術誌で7~8年に一度実施されている『名曲名盤』において3度も1位に輝いた。収録は当時EMIでオーケストラ録音に常時使用していたサル・ワグラムで行われ、録音を手掛けたのは名プロデューサーとして知られているルネ・シャルランと名エンジニア、ポール・ヴァヴァッスールのコンビです。ホールに分厚く渦巻く演奏の熱気が余すところなく捉えられています。作品のもつ構造性とドラマティックな要素を充分に把握した、音楽的スケールの大きなブラームス。漲る覇気と情熱に満ち、特に終楽章の高揚感と壮麗な表現が感動を呼ぶ作品。ドイツの指揮者やオーケストラの数ある名盤の中でも超一級の名盤ですが、この〝ブラームスの第1交響曲〟を超えるもしくは、これに匹敵する名演があるのか。
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