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オペラ入門の第一歩に ― 白鳥の騎士の物語にふさわしい高貴さと神秘性を兼ね備えた最高の名盤。 ― 名匠ルドルフ・ケンぺの代表作と言っていい盤が、本盤であろう。ケンペはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団からシルクの様に繊細で美しく、且つ雄大で力強い音楽を引き出している。各声部の透明で豊かな響きと冴えたリズム感が際立った演奏だ。それは、まさに「ロマンティック・オペラ」の真髄を表しているといると思う。そして、歌手陣も豪華ラインナップであり、オペラ「ローエングリン」を代表する名演であり名盤である。ケンペはオーボエ奏者でもあったことから、内声部に沈みがちな木管楽器をセンシティヴに鳴らす独特のバランス感覚を持つ指揮者だった。ジェス・トーマスが歌うタイトルロールが、身分を証す「ローエングリンの名乗り」は気品高く聴いていて身震いする。それも歌の背景でのウィーン・フィルの繊細を極めた美しいサウンドが、その場に居合わせた民衆の心の震えを感じ取らせてくれる、手応えに満ちたドラマを描き出している。ケンペの特長は正統的、標準的な演奏で、しかもオーケストラは十分歌っている。ドイツ人らしく重厚で、しかも若々しい力もある。ただ聴衆をうならせる圧倒的な個性の迫力が乏しい。当時の日本でのレコード批評の関心事には向かなかったようだ。だが、歌劇場での活動に支えられた劇的表現といった積極的要素に富んでいて説得力の高いものです。ケンペは会った相手がイギリスの女王であっても、タクシーの運転手であっても、誰でも、その物腰の柔らかい丁寧な応対は変わらず、また若い音楽家に対しても常に真剣で優しかったために、ジェネレイション・ギャップなども感じさせなかったと言われている。そのような人柄であったため、晩年になって、ようやく花が咲いたのには、ある程度うなずけよう。エリーザベト・グリュンマー、クリスタ・ルードヴィッヒ、トーマス、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ、ゴットロープ・フリック、オットー・ヴィーナーといずれもこの役の理想的な歌唱であり、この録音以外にも何度か顔を見せているバイロイト音楽祭の常連たち。いずれもこれ以上の歌唱を想像することすら難しい。歌手の錚々たる顔触れ。コーラスもまことに充実した素晴らしい演奏で、その美しくて泣けてくるような場面が至るところにある。
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