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GB DECCA SXL6335 アシュケナージ ベートヴェン・ハンマークラヴィーア
商品番号 34-6619
通販レコード→英”MADE IN ENGLAND BY THE DECCA” ワイドバンド ED2盤
月夜に瞑想するかのような深い味わい ― 吉田秀和氏は「世界のピアニスト」で、ウラディーミル・アシュケナージの「ハンマークラフィーア」やバッハのピアノ協奏曲のLPを例にとって、その音色の多彩さに言及し、少々留保付きだが、
すべてを黄金に変えるミダス王、豊麗な美女のようだと称している。柔らかくて粒立った音はこのピアニストの大きな特長であって、それはこの楽聖の後期の大作においても、すみずみまで如何なく発揮されている。ピアノソナタの頂点にして、ベートーヴェンのピアノ作品の最高傑作と言われる《ハンマークラヴィーア》。この愛称はピアノ・ソナタ第28番以降の作品はピアノフォルテではなく、ハンマークラヴィーアという進化したピアノで弾くことをベートーヴェン自身が指示したことが由来しているが、何故かこの第29番だけを〝ハンマークラヴィーア〟と呼称している。曲は4楽章から成り、演奏時間は45分ほど。技巧的にはかなり難しく、特に第1楽章の強音でパッセージを弾いたり、19分も掛かる長い第3楽章ではしんみりとした曲想で単調になってしまわない程度まで神経を集中させたり、さらに続く第4楽章は反動のようにメロディの随所随所に鬼のようなトリルを細かく入れたり、とこれを弾きこなせるかどうか、プロのピアニストにとっても一つの壁である。アシュケナージが最初に録音した《ハンマークラヴィーア・ソナタ》を聴くと、痒いところに手が届くような気持ちよさがある。技術の冴えもこれ以上は望めないくらい。第1楽章における切れのよさとフットワークの俊敏さは、ちょっと今まで聴いたことがない。第3楽章は春の野花を丁寧に摘み取るよう、優しくて暖かい。終楽章も瑞々しい流れの魅力が開放されていて楽しい。のびのびとした明快さで一気呵成に進んでゆく、こうしたベートーヴェンの精神性が浮かび上がる後期の演奏もひとつの見識。ときにアシュケナージ30歳。なお、アシュケナージの唯一となるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集録音に収められたものとは異なるものとなっています。美しいピアニズムと高度なテクニックが一体となった壮年期の録音で、才気が漲っている。ショパン国際ピアノコンクールで2位となり、エリーザベト王妃国際コンクールで優勝したアシュケナージは、イギリスEMIやソ連メロディアからレコードも発売されるなど音楽院在学中から国際的な名声を確立します。1965年には来日も果たし、さらにイギリス・デッカと専属契約を結んで着々とレコーディングを行うなど、活躍の場の国際化とともに政府の干渉や行動制限が増えたため、1974年にはソ連国籍を離脱してアイスランド国籍を取得しています。この時期のアシュケナージの勢いにはすごいものがありました。本盤の《ハンマークラヴィーア》や『熱情』は、そうした時期に収録されており、30歳になったばかりのアシュケナージの冴えたテクニックによるフレッシュなベートーヴェン演奏を楽しむことができます。アシュケナージは一般に、ヴィルトゥオーゾと称されるほど多くの難曲を弾きこなし、その上音色が多彩で、美しい音のピアニストとされ、ピアノの教師や生徒のお手本になる演奏をすると言われている。エキセントリックな表現や常軌を逸したデフォルメなどを拝しつつ、スコアに刻み込まれた音楽の自然な流れを大切にして、形づくっていく手腕に日ごろ調律のとれたピアノの音に接している聴き手ほど、レコードやCDからのピアノの響きを補完して聴こえていることだろう。アシュケナージは楽譜に忠実な演奏を心掛けているので、模範的な演奏を聴くならこれを聴くことをお薦めする。
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