JP PHILIPS PLC1001 アルテュール・グリュミオー クララ・ハスキル ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ「春」「クロイツェル」

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34-22814

商品番号 34-22814

通販レコード→日本ビクター・プレス重量盤

力で押す演奏ではなく、美しい音色と穏やかなフレージングが生きた演奏だ。 ― これを書いている令和元年12月1日。熊本は夜から冷たい雨が降りだしました。今日から59年前、1960年12月1日のパリも、冷たい雨が降っていたのでしょうか。パリでのコンサート(12月1日)を終え汽車でブリュッセルに向かった有名ピアニストは、駅で転倒。そのままブリュッセルで客死 (12月7日)しました。グリュミオーとのデュオ公演の後でした。ルーマニア生まれの名ピアニスト、クララ・ハスキルは、その名がレコード史上に永遠に残る人です。モノラル期及び初期ステレオ期の古い録音を通して、独特な「繊細で」かつ「愛らしい」ピアノ音楽を聞くことができます。そして敬虔ともいえるほどの彼女の音楽への関わりを感ずることができます。パリ音楽院でガブリエル・フォーレとアルフレッド・コルトーに学び、のちにフェルッチョ・ブゾーニの薫陶を受けた彼女は、若いときからウジェーヌ・イザイ、ジョルジェ・エネスコなどの名ヴァイオリニストとの二重奏で、ベートーヴェンの演奏を得意としていました。アルテュール・グリュミオーとハスキルとの出会いは1950年、ふたりがプラードの「カザルス・フェスティバル」に共に参加し、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第10番を演奏したときに始まります。幼い頃ヴァイオリンのリサイタルを開いたこともあるハスキルとピアノにも堪能だったグリュミオーは、このベートーヴェンの録音の合間にも、互いに楽器を取り替えて楽しんだといわれています。これは、わが国でよくいわれる「即興的な演奏」というのとはちょっと別のことで、そこに、「創造の風」「創造の息吹」が通っている。晩年のハスキルは、グリュミオーとの二重奏でヨーロッパ中の評判をとりましたが、現在レコードで聴けるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲とモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、この2人の創り出した永遠の至宝です。1956年9月、12月、1957年1月、9月にセッション録音された。ヴァイオリンは澄み切った青空を思わせるような伸びやかで透明感があり、しかも暖かみのある艶やかなラテン系の音色で、でも、ハスキルの瑞々しいピアノと調和していて聴いていて心地良いのではないかしらね。親密な味わいに満ちたこの録音からは、そうした2人の演奏者の幸せな一体感が暖かい音となって感じられます。こういう演奏だから、また聴いてみたいと思わせるのではないでしょうか。ステレオで再録音していたら、とは惜しまれること無い、敢えてこのモノラル録音の「ヴァイオリン・ソナタ全集」をチョイスする理由が著しく低下してしまうことは起こらないものでしょう。このオランダPHILIPSの有名な名盤になったハスキルとグリュミオーによるベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ全集」は、CD時代になって同じくオランダのBRILLIANTからライセンス発売されている。1956年から1957年というモノラル最後の時期のセッション録音ということもあって、質感・レンジ感には十分なものがあります。ハスキルが残したレコードの、曲目の偏りが気になるかもしれません。モーツァルトの協奏曲は19、20、23、24番に集中している。ベートーヴェンだって3番で、名前をよくきく「皇帝協奏曲」や「月光」だのニックネーム付ソナタも揃わない。この一因としては彼女が生来体力、健康に自信のある方ではなかったからだろうが、LPと同時代のピアニストが登場してくるステレオ録音が本格化するのが間近。ハスキルは、いうまでもなく、それ以前の人なのである。このベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタも力で押す演奏ではなく、美しい音色と穏やかなフレージングが生きた演奏だ。その全集から名前付きの名曲2曲、「春」と「クロイツェル」を選んでカップリングしたのが本盤です。モノラル時代のグリュミオー+ハスキル盤は、ステレオ時代のジノ・フランチェスカッティ+ロベール・カザドシュ盤、ダヴィッド・オイストラフ+レフ・オボーリン盤などと並び、これらの作品の最もスタンダードな演奏として長く聴き続かれてきた名演奏です。

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