「 カラス、ヴェルディのヒロインたちを歌う FR EMI/VSM 2C 053-00 865 STEREO」を通販レコードとしてご案内します。
FR EMI/VSM 2C 053-00 865 ニコラ・レッシーニョ フィルハーモニア管 ヴェルディのヒロインたち〜ヴェルディ オペラ・アリア集(イタリア語歌唱)
- Record Karte
FR 赤地にカラースタンプニッパー, 1958年の優秀録音。
- マリア・カラス(ソプラノ)
- ニコラ・レッシーニョ(指揮)
- フィルハーモニア管弦楽団
- 録音は1958年9月19〜21,24日ロンドン、アビー・ロード・スタジオでの、ウォルター・レッグのプロデュース、エンジニアはネヴィル・ボーリングによるステレオ・セッション。
- 1959年初発(SAX 2293)。
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ヴェルディ歌唱の最上の精華
― 世紀のディーヴァ、マリア・カラス。オペラ通の間では「BC」と言えばカラス以前、「AC」と言えばカラス以後の意味だと言われ、その幽玄にしてドラマティックな歌声は、没後45年を過ぎたいまも世界の人々を魅了してやみません。カラスの功績は、声と演技による鋭い心理描写で平板なオペラの台本でも優れたドラマを築き上げることにあった。それは、舞台を観なくともその静かながら壮絶な歌い回しで容易に想像できる。「私は今も一所懸命に働いています。私は難しさに打ち勝つことが楽しみです。挑戦することが好きなのです。人生にもし挑戦して打ち勝つものがなかったら、なんとつまらないことでしょう。」ニューヨーク生まれのカラスは通訳を使わないでギリシャ語、イタリア語、英語、フランス語でインタビューに答えている。カラスのインタビューはかなりのこされているが、構えることなく、スムーズな会話が思い出される。ネイティブほど難しい表現は使わないが、簡潔に彼女の気持ちが伝わってくる。紆余曲折のあった彼女の人生は、自分に要求する水準が高かったからだろう。恋愛に溺れた一方で、高度なテクニックを持ち、講師として的確に指導する知性もあった。カラスは多面的な人だったし、だからこそ、曲自体のドラマだけでなく歌い手のドラマが、そこに反映されている。26作あるヴェルディのオペラではソプラノがドラマの中心的な役割を担っているのは当然ですが、初期と中期から後期では声の用法、キャラクターに違いがあります。『ヴェルディのヒロインたち』は初期オペラ作品におけるヴェルディ歌唱の最上の精華を示した内容が聴きどころ。カラスの声の絶頂期といえる1958年の録音。それは、感情の表現力とも異なる、そもそもの音の重みの違い。ゆえに、いつまでも古くならない永遠。いまだ変わらぬ別格の人気の理由だろう。何より彼女は音楽に一期一会を求めていたのだから。音楽の構造全体を把握し、音楽の構造の中でのその音の意味、作曲家がそこにその音を持ってきた意味を完全に理解して歌っているのである。これほどすごい音楽的知性に出会うことはそうない。
〝早すぎたポップ・スター〟
― カラスの全盛期にもまたその没後もオペラ界には優れた歌手は星の数ほど現われましたが、その歌手たちの多くが忘れ去られる中でカラスだけは時代を超えて今も新しくファンを獲得しているのは何故なのでしょうか。当時のミラノ・スカラ座のプリマドンナはアルトゥーロ・トスカニーニから〝天使の声〟と賞賛されたソプラノ歌手レナータ・テバルデイが第一人者として活躍していました。そのテバルデイが急病のためにヴェルディのオペラ「アイーダ」のタイトルロールの代役としてカラスは出演しましたが、カラスがスカラ座で正式にデビューしたのは1951年から52年にかけてシーズン・オープニングの演目、ヴェルデイ中期のオペラ「シチリア島の夕べの祈り」でした。それは黄金期の幕開けとなり、ベルリーニのオペラ《ノルマ》、モーツァルトのオペラ「後宮よりの逃走」、ヴェルデイのオペラ《マクベス》《トロバトーレ》、ケルビーノのオペラ「メデア」など次々と歌い、カラスの芸術家としての重要な部分は、このスカラ座における10年間に凝縮されています。なかでも絶頂期の最大傑作のひとつとなったカラスとルキノ・ヴィスコンティの創造したヴェルディのオペラ「椿姫」のあとでは、しばらくは上演されず、久しぶりに挑戦した実力のあるソプラノ歌手の舞台も失敗に終わり、次の「椿姫」が上演されるまでにはまた長い時間がかかりました。ヴィオレッタ役をカラスは全身全霊で演じ、スカラ座の歴史上伝説的な舞台になった上演で、当時のカラスの圧倒的な演唱を数多くの人々が知っていた。彼女はクラシックの世界に生きた人だが、その記憶のされかたは、ポップ・スターに近いところがある。カラスは、歌劇における演技力、役の心理の理解に優れた歌手だった。そして、実人生のほうも、芝居のようにドラマティックなものだった。カラスは、派手な社交や恋愛でも知名度を上げた。イタリア大統領も臨席した1958年1月2日、ローマ歌劇場でのベッリーニのオペラ『ノルマ』に主人公ノルマ役を、第1幕のみで出演をキャンセルし批判を浴びたスキャンダルも、話題に事欠かない。クラシック通以外にも名前を知られ、広く聴かれた点では、ポピュラーな歌手だったのだ。
〝大袈裟すぎるぞ!〟
― 天井桟敷から声がかかり、ソプラノ歌手は歌唱に集中できなくなった。声の主はわからないし、歌手なら誰もが恐れる天井桟敷からの声だ。気を取り直して歌い続けると、当夜は彼女が歌うと、幾度となく〝troppo esagerato!〟(大袈裟すぎるぞ!)と声がかけられた。そのソプラノ歌手は、当時飛ぶ鳥を落す勢いのミレッラ・フレーニ。出来事は1964年12月17日にミラノ・スカラ座で起きました。指揮は世界のトップに君臨していたヘルベルト・フォン・カラヤン、演出は映画監督でもあり、ナンバーワン演出家のフランコ・ゼッフィレッリ。演目はマリア・カラスの名演から9年しか経っていないヴェルディの名作オペラ《椿姫》。第1幕の有名なアリア“花から花へ”に移る前のヴィオレッタが〝gioir!〟(楽しむのよ)と2回繰り返して歌う高音で、喉の調子が万全でなかったフレーニは少し失敗してしまいました。第1幕後のカーテンコールでも天井桟敷から野次られ、それを不満に思ったフレーニは天井桟敷を睨みつけ、腰に手を当て態度でも示した。以後、彼女はミラノ・スカラ座で〝椿姫〟を歌わなくなりましたが、その2ヵ月後フレーニは故郷の地モデナ・コムナーレ劇場で〝椿姫〟を歌い大成功を収めました。生まれ故郷であることを差し引いても、この成功をきっかけにロイヤルオペラからオファーが来たので、フレーニの評価は良かったわけだが、当時のマリア・カラスの圧倒的な演唱を数多くの人々が知っていた。しかもイタリア・オペラの代表作、人々に愛されているがゆえマリア・カラスのイメージを壊されたくないほど、9年前の公演の思い出を宝物にされたことは歌手にとってどれほど嬉しい事だったろうか。ミラノの人々が〝マリア・カラスの呪い〟と言う出来事で、以後30年間スカラ座で〝椿姫〟は上演されませんでした。あまりに素晴らし過ぎる公演があると、その後歌う歌手も大変かもしれません。
ドラマに対する類まれな冴えた感覚と、それに完璧に連動する歌唱力を持ち合わせていた稀代の名歌手マリア・カラスは、キャリアのほとんどの期間でEMI専属の歌手としてレコーディングをおこなっていました。ここに収録されている作品は、カラスが全曲盤としての収録を行っていない曲集であり、これらの曲をカラスの声で聴くことができるのは本盤だけです。彼女としては晩年の収録で、年齢的に最盛期とは、もはや言えないし、声の変化はいかんともしがたいものがありますが、それを超越した表情づけのこまやかさ、デリケートな表現、陰影の美しさは、さすがにカラスだと思わせる。各々のアリアへの愛着と深い解釈故だろう、心理描写の絶妙さは、精妙な構成力が際立った歌唱になっています。
ディーヴァ ― 不世出のソプラノ
舞台ではいつも新しいものを求めなくてはなりません。その方がよりリアルです。私はいつも同じようには動かないので、二つと同じ舞台はありません。署名と同じで、二つと同じものはないのですが、それはいつも「マリア・カラス」なのです。
マリア・カラス(Maria Callas)は1923年12月2日、ニューヨーク生まれのソプラノ歌手。1977年9月16日、パリにて没。13歳で故国ギリシャに帰り、アテネ音楽院で名歌手、エルビラ・デ・ヒダルゴに師事。1938年にオペラ・デビューし、1947年、ヴェローナ音楽祭でのポンキエッリのオペラ「ジョコンダ」のタイトルロール役で一躍注目を浴びる。1950年のスカラ座デビューから約10年間が全盛時代。ワーグナーのドラマティックな役と、ベル・カント・オペラの両方の分野で成功を収め、不世出のソプラノ歌手として名を残した。42歳だった1965年にオペラの舞台から退いたが、1969年に映画『王女メディア』に主演したほか、舞台演出、音楽院の講師を務め、1973~74年に世界各地でフェアウェル・コンサート・ツアーを行った。オペラ歌手としての充実した活動期間は短く、1951年からの7年間が全盛期、歌声に波があった1960年代まで含めても10数年にすぎなかった。早すぎる衰えは、若い頃に難曲で喉を酷使したため、あるいはダイエットのせいとも不摂生のせいともいわれる。全盛期のモノラル録音と比べスタジオでセッション録音されたステレオ録音の歌唱には年齢的に最盛期とは、もはや言えないし声の変化はいかんともしがたいものがありますが、それを超越した表情づけのこまやかさ、心理描写の絶妙さは、精妙な構成力が際立った歌唱になっていきます。ドラマに対する類まれな冴えた感覚と、それに完璧に連動する歌唱力を持ち合わせていた稀代の名歌手カラスは、1953年のモーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』からのマイク・テストから、レッシーニョとの1960年台の録音まで、キャリアのほとんどの期間でEMI専属の歌手としてジョルジュ・プレートル、トゥリオ・セラフィン、ガブリエーレ・サンティーニ、ヴィクトール・デ・サーバタ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、アントニーノ・ヴォットー、ニコラ・レッシーニョ、アルチェオ・ガリエラらとレコーディングを行っていました。ウォルター・レッグのプロデュースで複数の「ヴェルディ・アルバム」をマリア・カラスは録音しています。往年の舞台姿を彷彿する、それらは時期を開けて1958年から1969年まで丁寧な選曲でセッションが組まれました。
ニコラ・レッシーニョ(Nicola Rescigno)
1916年5月28日、ニューヨーク生まれの指揮者。父はメトロポリタン歌劇場のトランペット奏者だった。ローマで法律を学んだ後、1929年からイルデブランド・ピツェッティ、ヴィットリオ・ジャンニーニやジョルジオ・ポラッコらに師事。1943年、ニューヨーク音楽アカデミーでジュゼッペ・ヴェルディの《椿姫》の上演を指揮してデビューする。その後、サン・カルロ・オペラのアメリカ巡業に同行して名声を得て、コネチカットやハバナの歌劇場の音楽監督の任についた。1954年、キャロル・フォックス、ローレンス・ケリーとともにシカゴ・リリック・オペラを創設し、1956年まで芸術監督・指揮者を務める。この間マリア・カラスのアメリカ・デビューのステージを指揮し、数多くの名演を残した。1957年にはダラス・シヴィック・オペラの発起人の一人として創設に名を連ね、19年間に渡って芸術監督・指揮者を務めた。また、モンセラート・カバリェ、プラシド・ドミンゴ、ジョーン・サザーランド、テレサ・ベルガンサ、ジョン・ヴィッカーズやマグダ・オリヴェロといったオペラの名歌手たちのアメリカ・デビューを指揮して伴奏を担当したことでも知られ、演出家のフランコ・ゼフィレッリのアメリカ・デビューのときの指揮者も務めるなど、広汎に活躍している。メトロポリタン歌劇場には1978年から出演し、ヘンデルのオペラ『アルチーナ』『ジューリオ・チェーザレ』を手がけるなど、イタリア・オペラのスペシャリストであった。1990年にはローマのカラカラ浴場跡で『アイーダ』を指揮して注目を集めた。ヴィテルボの病院にて2008年8月4日死去。
プロダクト・ディテール(オリジナル盤)
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レーベルEMI/VSM
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レコード番号2C 053-00 865
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作曲家ジュゼッペ・ヴェルディ
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楽曲Callas Portrays Verdi Heroines – Macbeth, Nabucco, Erani, Don Carlos
- Side-A
- 歌劇「マクベス」第1幕より ― 勝利の日に…さあ、いそいですぐに Nel Di Della Vittoria. Cavatina: Vieni! T’Affretta (Act I)
- 歌劇「マクベス」第2幕より ― 日の光が薄らいで La Luce Langue (Act II)
- 歌劇「マクベス」第4幕より ― 消えてしまえ、呪わしいこのしみよ(夢遊の場) Una Macchia E Qui Turrora! (Act IV)
- Side-B
- 歌劇「ナブッコ」第2幕より ― ああ、わたしが見つけた運命の書よ…いつかわたしも晴れの身となり Ben Io T’Invenni Anch’io Dischiuso Un Giorno (Act II)
- 歌劇「エルナーニ」第1幕より ― 夜のとばりがおりたのに…エルナーニよ、いっしょに逃げて Surta E La Notte Cavatina” Ernani! Ernani! Involami (Act II)
- 歌劇「ドン・カルロ」第4幕より ― 世のむなしさを知る神 Tu Che Le Vanita (Act IV)
- Side-A
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演奏者マリア・カラス
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オーケストラフィルハーモニア管弦楽団
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指揮者ニコラ・レッシーニョ
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録音年月日1958年9月19〜21,24日
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録音場所録音は1958年9月19〜21,24日ロンドン、アビー・ロード・スタジオ
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録音プロデューサーウォルター・レッグ
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録音エンジニアネヴィル・ボーリング
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録音種別STEREO
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製盤国FR(フランス)盤
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発売年1959年初発(SAX 2293)
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レーベル世代赤地にカラースタンプニッパー
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