「 JP 東芝EMI TA72021 館野泉 シベリウス ピアノ小品集」を通販レコードとしてご案内します。
舘野泉がフィンランドの透明なリリシズムを描いた
世界唯一のシベリウス・ピアノ小品集。
この「シベリウス・ピアノ小品集」のレコードを録音するにあたって、百数十曲ものピアノ曲の中からどれとどれを選ぶかということは、かなり難しい作業だった。もっともポピュラーな曲ばかり集めて1枚のLPにまとめることだって出来るわけだけど、わたしとしてはそれだけでなくて、シンフォニストとしてだけ知られているシベリウスを別の面から、インティームなピアノ・ミニアチュアの世界を通して、ひとつのまとまった姿に浮きぼりにしてみたかった。それと同時に、全体をひとつの詩集のように編んでみたかったのだ。― 舘野泉
彼のフインランド・シベリウスに対する熱情が昇華した名録音。普段耳にすることの稀なシベリウスのピアノ曲ですが、そこには北欧の素朴な自然の美しさが結集しています。シベリウス研究の世界的権威であるエーリク・タヴァッシェルナは、シベリウスのピアノ曲の中に、彼の内面的成長の跡をたどることが出来ると書いたが、ピアノ曲のほとんどが、さりげなく書かれたものばかりであるだけに、シベリウスの心の、いわば、ふだん着のような姿が覗かれるかもしれない。いずれにしても、このシベリウス・アルバムに盛る曲は、美しい曲ばかりであることは、勿論として、青年、壮年、晩年の各時期にわたる作品を織りこんで、一人の人間の描いた「生涯の弧」とでもいうべきものを響かせてみたいと思った。
とばかりに35歳の若きピアニスト、シベリウスの魅力を知り尽くす舘野泉がその素晴らしさをしっとりと丁寧に語りかけてくれます。自然美が結晶したシベリウスのピアノ曲、その魅力が満載。往年のまさに定盤中の定盤として一世を風靡した盤の日本国内初出盤。
奇跡のピアニスト/左手のピアニスト~舘野泉ふたたびつかんだ音楽。
1936年東京生まれ。父はチェリスト、母はピアニストだったので、身近に楽器があり、両親の音楽仲間が集まって、よく室内楽を演奏して歌、いつも音楽が奏でられていた家庭環境の中で育つ。
1960年東京藝術大学を首席で卒業。、卒業後はピアニストとしてデビュー。最初にヨーロッパに行ったのは1962年。半年ほどの滞在期間に、パリやミュンヘン、モスクワ、北欧4ヵ国を訪れた。彼は、中学生の頃にノルウェーの作家マリー・ハムズンの小説を読んで感激し、北欧に憧れを抱いていた。高校時代はフィンランドの少女と文通もしていたということだ。つつましい暮らしをしながらも、自国に強い誇りを持っているフィンランドの人々を知るようになり交流は自然と良かったのだろう。1964年よりヘルシンキ在住。1968年メシアン・コンクール第2位。同年よりフィンランド国立音楽院シベリウス・アカデミーの教授をつとめる。フィンランド人の声楽家の女性と結婚し、2人の子どもに恵まれた。1981年より、フィンランド政府の終身芸術家給与を受け、1990年以降は演奏生活に専念している。1996年日本と諸外国との友好親善への貢献に対し、外務大臣表彰受賞。2006年シベリウスの音楽の普及に貢献したとして、フィンランド・シベリウス協会より「シベリウス・メダル」を授与される。
2001年に演奏生活40周年記念リサイタルとして日本、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアと、世界中を演奏して回って、2001年の年末にようやくフィンランドに帰国。翌年、65歳のときです。年が明けて間もないある日、ヘルシンキから150キロほど離れた、タンペレという都市で演奏会をしていた時のこと。最後の曲を弾き終わる2分くらい前に、だんだん右手が動かなくなってきたのを感じた舘野。おかしいなと思っているうちに、右手が止まってしまった。彼は、なんとか左手で最後まで弾き終え、立ち上がってお辞儀をし、2、3歩歩いたところで倒れ込んでしまったのです。脳溢血でした。脳溢血で倒れ右半身不随となるも、体を動かすリハビリ、手先を動かすリハビリのほか、言葉を話す訓練をしたり、記憶も相当あやしくなっているから記憶を呼び戻す訓練をしたり。2年半に及ぶ苦闘の日々を不屈の精神でのりきって、2004年5月左手による演奏会で復帰をはたす。
左手で弾くピアニストになろうなんて考えてもいませんでした。― 舘野泉
倒れて1年半くらいたった頃、シカゴに留学し、ヴァイオリンを勉強していた息子が帰ってきて、イギリスの作曲家ブリッジの「左手のための三つのインプロヴィゼーション」という曲の楽譜を置いていきました。その楽譜を手にとって見た瞬間、「あっ、これをやればいいんだ」と直感。本当に1秒か2秒くらいのことでしたね。ここにこんなに立派な音楽があって、自分はこの作品を演奏できる。ピアノを弾くのに手が1本であろうと2本であろうとかわりのないことなのだ、と──。その翌々日には、ヘルシンキから旧知の作曲家・間宮芳生さんに、「僕は来年の5月に日本で復帰の演奏会をするので、曲を書いてください」とFAXを送りました。すると1日置いて、「喜んで書きます」という返事が届いたのです。フィンランド人の作曲家で、長年仲良くしていた友人のノルドグレンも、素晴らしい曲を書いてくれました。2人の曲を中心に、2004年、復帰の演奏会をしたわけです。
手が1本でも2本でもピアノを弾くことに変わりない。
収録曲
Side-1
- ロマンス 変ニ長調 作品24の9(「ピアノのための10の作品集」より)
- 「樹」の組曲(5つのピアノ小品集)より
- ピヒヤラの花咲く時 作品75の1
- 孤独なモミの木 作品75の2
- ポプラ 作品75の3
- 白樺 作品75の4
- 樅の木 作品75の5
- 踊りのかずかず
- ワルツ 作品34の1(「10のバガテル」より)
- 踊りの歌 作品34の2(「10のバガテル」より
- マズルカ 作品34の3(「10のバガテル」より)
- ロンドレット 作品40の7(「抒情的瞑想」(10のピアノ小品集)より)
- 即興曲 第5番 作品5の5(「6つの即興曲」より)
- キャプリス(奇想曲) 作品24の3(「ピアノのための10の作品集」より)
Side-2
- ソナチネ 第1番 嬰ヘ短調 作品67の1
- ソナチネ 第2番 ホ長調 作品67の2
- ロンディーノ 第1番 嬰ハ短調 作品68の1
- ロンディーノ 第2番 嬰ハ短調 作品68の2
- 草花によせる曲
- あやめ 作品85の3(「花」の組曲(5つのピアノ曲集)より)
- 北方のリンネ草 作品76の11(「13のピアノ小曲集」より)
- 金魚草 作品85の4(「花」の組曲(5つのピアノ曲集)より)
- つりがね草 作品85の5(「花」の組曲(5つのピアノ曲集)より)
- 村の教会 作品103の1(「5つの性格的小曲集」より)
- ロマンティックな情景 作品101の5(「5つのロマンティックな小品」より)
- Record Karte
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- 1971年6月7日&14日、埼玉会館録音。
CDはアマゾンで
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