GB DECCA SDD110 アルフレード・カンポリ エイドリアン・ボールト ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ブルッフ スコットランド幻想曲

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「 GB DECCA SDD110 アルフレード・カンポリ エイドリアン・ボールト ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ブルッフ スコットランド幻想曲」を通販レコードとしてご案内します。

イタリアの青い空、地中海の碧い色。陽気さ、明るい、そういう音色、そして一抹の陰り … 哀愁。懐かしさと郷愁も感じる、そんなヴァイオリンの音色に惚れた ― その凄さが、これみよがしになっていないのが心憎い。歌うようなヴァイオリンの音色という形容は、これこそ肉声の歌声を聴いているようなカンポーリの録音にこそ言える至福の一枚。そしてまた、楽譜に書かれた音符から読み取った教官に忠実に、楽器が放つ音に色彩や音量の変化を綿密に施していくカンポーリの音楽性は、トルソーの少女像が甘美な官能的なものに変化していく様な艶めかしさも感じられて脱帽もの。ボールトは「私は常に指揮をとるということは、船の船長になるようなものだと思ってきた。私には石油のドラムカンといっしょにころげまわる理由はまったくない」と言った。英国の巨匠エイドリアン・ボールトはオックスフォード大学で音楽の学位を得たのち、ライプツィヒ音楽院でマックス・レーガーに作曲をハンス・ジットに指揮を学びますが、この地でボールトが最も感銘を受けたのは、アルトゥール・ニキシュによるリハーサルやコンサートの数々だったといいます。ボールトは20歳代初めの若い頃、ライプツィヒで偉大な指揮者アルトゥール・ニキシュに私淑したが、晩年に至るまで讃仰の気持ちは変わることがなかった。「ニキシュは私などよりももっと簡素だった。今日、若い世代の指揮者たちには余りにも跳び回る傾向がある。もっとも、彼らはそうすることを期待されているのかもしれないがね。また最近の傾向としては、総体的な建築的構成を犠牲にしてディテール(細部)をほじくることが著しく目立っていると思う。」とは、ボールトの現代批判であるが反面、聴き手はボールトに一種の安全弁のようなものを見出していたようである。少なくともイギリス人はそうであった。ボールトが英国音楽だけでなく独墺系音楽も得意としていたのは、そうした事情が背景にあるとも思われ、これまでにも両分野での人気には絶大なものがありました。どれも堂々たる仕上がりのボールトらしい立派な演奏でリズムの弾力性の高さもボールトの多くの録音の中でも群を抜くもの。ここでもアンサンブルはかっちりと凝縮されており、極めて清潔なその響きにも酔いしれます。類まれな技巧を駆使して豊かな情感が表現されるが、その情感にはあくまで上品で繊細な響きの持ち主、アルフレツド・カンポーリ。名前からして純粋なイタリア人と思えるが、活躍の場は女王陛下の国英国。バッハもモーツァルトもベートーヴェンもイタリアのやり方を見習い、その手法で自分の音楽を書きましたが、カンポーリは祖国イタリアを、異国の地、英国でDECCAの力を借り、国際スタンダードにした立役者と云ったところか。カンポーリのヴァイオリンは官能的なまでに甘美でありながら、ぴんと張りつめるような緊張感を保って伸びやかに歌っている。イタリア人という彼の中のラテン的な明るさとストラディヴァリスの豊穣な音色が相まって、 ゆっくりとした時間の流れに身を委ねることが出来ます。ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、シベリウス、ブルッフなどと有名コンチェルト七大としたい。この曲は曲への深い共感と、自然な息づかいで精神的な余裕が感じられる演奏である必要がある。そこが課題だが、平然と演奏できるようになるには、作曲の背景にある《とある人類が引き起こした悲しい歴史》の生々しい記憶が遠いものと成ってからのことかもしれないが。
  • Record Karte
    • 演奏:アルフレード・カンポリ(ヴァイオリン)、エイドリアン・ボールト指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
    • 録音:1958年5月6〜8日ロンドン録音。
    • 曲目
      1. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
      2. ブルッフ:スコットランド幻想曲
    • DECCAの廉価盤は1960年代初頭より少し前にモノラルのAce of Clubsではじまり、1965年頃からはステレオ録音をAce of Diamondsレーベル(SDDナンバー)として再発売していきます。初回発売SDD101はエルネスト・アンセルメ指揮のベートーヴェン交響曲1・8番。SDD100番台まではレーベルが大きく上部にFull Frequency Range Recordingという表示があります。これらは盤質もワイドバンドと同様なだけでなく、ほとんどの場合ワイドバンドで使われた金属原盤を流用してプレスされているので大レーベルで溝ありと溝なしがあり、音質的にワイドバンドに匹敵するものになっています。殊更に高価なSXL2000番台の再発にあたるものはコレクターズアイテムです。1970年代に入るとSDDシリーズのレーベルも小さくなり、デザインも微妙に変化しています。オリジナルのSXLと別編集のリカッティングになっているものも多く、盤質も低下していてコレクション的な価値は下がります。

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