GB DECCA SXL6408 ウラディーミル・アシュケナージ イツァーク・パールマン バリー・タックウェル フランク ヴァイオリン・ソナタ ブラームス ホルン三重奏曲

投稿日:

「 GB DECCA SXL6408 ウラディーミル・アシュケナージ イツァーク・パールマン バリー・タックウェル フランク ヴァイオリン・ソナタ ブラームス ホルン三重奏曲」を通販レコードとしてご案内します。

34-21200

人は成功のためではなく、自分が信じるもののために生きる。重要なのは、自分の達成と思わず自然から与えられたものだと思うこと。 ―  ウラディーミル・アシュケナージの名言ですが、後進の若いピアニストに向けられた箴言ととることもできるとともに、ショパン国際ピアノコンクールで第2位に輝き、彼が世界的なピアニストとして名声を確立したころの心得ともしていたを表した言葉なのではとも思われる。この時にアシュケナージが優勝を逃したことに納得できなかったアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリが審査員を降板する騒動を起こしたことはよく知られているものですが、イツァーク・パールマン、アシュケナージの初共演盤となった、このレコードを聴いて想いついたのです。イヴァン・ガラミアンと、ドロシー・ディレイに徹底的に鍛えられたパールマンは、従って造形はあくまでも端正に処理され、表情がどれほど情熱的な場合も感覚的に濁りがない。パールマンはフランスのヴァイオリニストではないが、その国際性と現代性において、全くフランス的と形容して良いのである。こうした場合、ここではフランクのソナタが、その厳しさと逞しさに耐えて、いっそう底光りのする真価を発揮するが、本盤を成功に導いた、そこにはアシュケナージの伴奏にあるといえるだろう。それが異形の魅力となったショパンの「バラード」 ― 19世紀の作曲家の多くが触発されたバラードの録音でも、アシュケナージ曰く、「ピアノではオクターブ、 連打の技術が最も難しい」。ヴァイオリンには、その甘美で華麗な音色を聴いて味わうのに相応しいイメージがあるのではないでしょうか。しかし、フランス的な香りと後期ロマン派らしい重厚なロマンを併せ持ったフランクの名曲「ヴァイオリン・ソナタ」は、ヴァイオリンの代わりにチェロで演奏されることがあるのも頷ける音楽です。ベルギーの作曲家フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」は、独得の循環形式を用いた彼の最高傑作。パールマンとアシュケナージという、録音当時若手の中では最高のデュオとされた演奏です。パールマンが23歳、アシュケナージが31歳の時の録音。フランクでの若きパールマンの颯爽としたヴァイオリンが、まことに清々しい。パールマンは、持ち前の美麗な音色を駆使して、技術的に完璧な演奏を繰り広げています。また彼は後年、自らの技術の冴えに溺れて底の浅さを感じさせるような側面を見せることがありましたが、この23歳という若い時期に曲に真摯に向き合い、誠実でデリケートな演奏をしています。アシュケナージのピアノは流麗。その持ち味である温かく輝かしい音色、繊細で細やかな歌心で、前に出ることなく、作品の隅々まで神経の行き届いた極めてバランスがよく質の高い演奏を聴かせてくれます。サポートに廻った時の、アンサンブルとしても非常に精妙です。この演奏にはフランス的な香気とか、重厚さとかは、存在しません。若い演奏家が瑞々しい感性で、技術的に非常にハイレベルな演奏をしています。そこに「バラード」のドラマ性よりも、抒情性に重きを置いた、ショパン演奏の現代のスタンダードと呼べる真摯で真面目なスタイルによる正統派の演奏だったことに通じる仕事だったと感じられるのです。この曲にフランス的な香りのようなものを求める方や情熱的な演奏、あるいは重厚感を求める方には不満の残る演奏かもしれませんが、この曲の背景を抜きにした〝純音楽〟として聴かせてくれる非常に優れた演奏です。このパールマン&アシュケナージのコンビは、以降1960年代後半から1980年代前半にかけて、ベートーヴェンやブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲を録音するなど、良い仕事をしています。そう発展していく、初手合わせにフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」を選んだのは興味深い。珍しい編成のブラームスでも、ホルンの名手バリー・タックウェルのノーブルな音色が効果的。3者のアンサンブルが見事だ。この時期だからこそ表現しえた稀代の演奏と言えるだろう。

続きを読む

from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/3esAbWt
via IFTTT