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何年も会えなかった恋人に逢えたような喜びを感じています。 ― と言えば格好いいのですが、昨年夏にここで紹介するために聴き返すまでは記憶からはほとんど消えていました。クラシック音楽には王侯貴族の姿に憧れるところもあって、ヘンデルのハープ協奏曲に惹かれ、モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲は愛着のあるものです。クラシック音楽を聴き始めた頃には、サバレタの独奏盤の数々も揃えたものでしたが。スケールの大きなシンフォニックな音楽、ドラマティックなオペラ、渋い室内楽、華麗な器楽曲作品、敬虔な宗教音楽などを主に聴いてきて、ハープ音楽をあまり聴いていなかったことが一番大きな理由かもしれません。スペイン生まれのハープ奏者ニカノール・サバレタ(1907〜1993)は、女性奏者の多いハープ演奏家の中でも男性奏者として異色の存在であったし、2度にわたる来日経験もあって日本でも人気のあったハープの第一人者でした。女性奏者の演奏は細い指先がハープの弦を撫でるようで、眺めているだけでもうっとりするものですが、ドレスのふわっと大きく花開いた裾のその中で、体操選手のように足捌きが行われているのはわからない。水面の上にスイーッと優雅な姿を見せる白鳥が、水面下ではとんでもなく水掻きをしているものです。男性奏者だとたくましい肩幅と、鍛えられた腕の動き。さっそうと捌かれる足元のペダルが一目瞭然ですが、サバレタの演奏姿をテレビで見た時は新たな感激をしました。とても気品のある高貴な情緒で、音色は清澄で、実に透き通った音で楽しめます。まさにスコアが透けて見えるかと思えるような透明な響きが、サバレタの大きな特徴でしょう。サバレタはバロック音楽から現代音楽までの幅広いレパートリーを演奏しており、そうした彼の探究心からヒナステラ、ミヨー、ホヴァネス、ヴィラ=ロボスなど同時代の作曲家から献呈された作品も数多い。更にサバレタの偉大さは編曲にもあります。独奏フルートなど他の楽器のために書かれた音楽をハープ用に編曲するなど、ハープの演奏の可能性を広めたことでも大きな功績として評価を高めています。本盤はヴァイオリンや鍵盤楽器の曲ながら、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品。《パルティータ第3番 BWV1006a》(原曲は無伴奏ヴァイオリン用)。これもサバレタの編曲ですが、もともとバッハがハープのために書いたような音楽に仕上げており、バッハの原曲の素晴らしさを改めて感じさせる響きとなっているとともに、ハープの魅力を見事に伝えています。サバレタが得意とした透明感溢れる音色をたっぷり堪能することができます。彼は自分で考案した8つのペダルを持つ楽器を使用、ラヴェルにも絶賛されたと言われる澄んだ音色が特色です。これも20世紀の個性。まさにハープの可能性を世界に広めるために縦横無尽の活躍をした巨匠です。
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