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黒人歌手として世界のオペラハウスで活躍する先鞭をつけた偉大なソプラノ ― レオンティン・プライスは、メトロポリタン歌劇場を代表するプリマ・ドンナとして活躍、ヴェルディの中期以降の名作の殆ど、プッチーニのドラマティック・ソプラノの役柄を主なレパートリーとし、その後、モーツァルトとリヒャルト・シュトラウスの殆どのオペラへと、レパートリーを拡げて行った。1966年メトロポリタン歌劇場がブロードウェイからリンカーン・センターに移転し、新設された劇場のこけら落とし公演は絢爛豪華なセットが話題のサミュエル・バーバー作曲「アントニーとクレオパトラ」であった。当時、絶頂期にあったレオンティン・プライスの特質を最大限に生かすために作曲されたものだ。彼女は、主演の打診を受けてから「天使のように節制して毎日を送った」と当時を振り返っている。しかし直前のリハーサルではセットのピラミッドは開かず、回り舞台は回らない、加えてスタッフたちはストライキを画策していた。メトロポリタン歌劇場が現在の場所に移転するまでには紆余曲折があった。旧劇場は壮麗な内装ながら、ステージがよく見えない席が718席に上ることに加え、稽古場の粗末さ、舞台裏の狭さなど、かねてより問題が指摘されていた。メトロポリタン歌劇場総裁のルドルフ・ビングも「移転は不可欠」としながらも、計画は何度も頓挫した。しかし、ニューヨーク市の都市計画の思惑も絡み事態は進展する。新天地に決定したのは、ミュージカル「ウエスト・サイド物語」の舞台となったスラム街。巨大なブルドーザーが建物を壊し、住人たちを移転させた。メトロポリタン歌劇場の建物のデザインも資金面から建築家ウォレス・ハリソンの構想が縮小を余儀なくされるなど迷走が続く。また主演を飾ったソプラノ、レオンティン・プライスは人種差別がまだ色濃く残る故郷から両親を迎えていた。初日に向けてトラブルが続く中、メトロポリタン歌劇場総裁自ら「最初のシーズンに新作9作はクレイジー」と語るなど、暗雲が立ちこめていた。そんな中、演出家フランコ・ゼフィレッリは執念と情熱で稽古を牽引。トラブルを乗り切ったのは当然のこと。そうした苦難を乗り越えた自信が表紙の写真での目の輝きに現れている、このレコードは、5大オペラの名場面だが、ヴェルディの歌劇《ドン・カルロ》のテーマは、宗教界における旧教と新教の対立であり、政治権力と宗教権力の対立だが、主役たち全員が異なった個人的葛藤と苦闘し、男性は英雄として挫折し、女性は愛のために身を滅ぼしていく。チャイコフスキーの歌劇《エフゲニー・オネーギン》は農奴制時代の農村と、モスクワやペテルブルグの上流社会という環境に住む二人の主人公の義務感あるいは責任感という永遠のテーマである。華やかな社交界に生きる《椿姫》は孤独感を胸の内に抱えながら、死んでいく悲恋物語。リヒャルト・シュトラウスのオペラ《ナクソス島のアリアドネ》は、前半の「前芝居」と後半の「オペラ」という二つの部分から出来ている。悲劇と喜劇、言葉と音楽、歌とダンスといった芸術上の問題にとどまらず、歌手同士のライヴァル意識、削除(カット)の是非、聴衆へのウケ、パトロンとの屈辱的な関係等、実践や受容の側面にまで及ぶ忌憚のないオペラ論議を展開する、気まぐれなパトロンの意向にオペラの関係者たちは振り回されて困惑するばかり。最後に歌われるのが、ベートーヴェンが作った唯一のオペラ。夫は、権力者の不正を暴いたために不法に投獄され、2年経った現在では、どこにいるのかも、その生死さえもわからなくなっている。妻レオノーレは夫を救うために男装してフィデリオと名乗り、彼が囚われていると目星をつけた牢獄に看守の下働きとして潜入し、夫を救い出す。日本では知らない人がいないくらい有名な交響曲第9番〈合唱付き〉で、第1楽章から第3楽章までの紆余曲折の末に、第4楽章で登場する〈歓喜の歌〉。そこで歌われている友愛、夫婦の愛、そして神への愛は、苦難の末に正義が勝つという内容と、妻による夫の救済という理想の夫婦愛を描くこの《フィデリオ》のテーマでもある。様々なオペラからの場面が力強い意志を持って貫かれているようだ。ピアニッシモからフォルティッシモまでむらがなく豊かに響く輝かしい声は、〝黄金の声〟と絶賛されレオンティン・プライスが紛れも無く20世紀を代表する名歌手の一人であったことを十二分に納得させてくれる。
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