GB PHILIPS ABL3143 クララ・ハスキル パウル・ザッハー ベルンハルト・パウムガルトナー ウィーン交響楽団 モーツァルト ピアノ協奏曲9番、ロンドK386

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34-22289

商品番号 34-22289

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気品、高貴、透明度、落ち着き、さりげなさ。 ― ハスキルってみんなが騒ぐほど凄いピアニストなの?って問う人がいます。とても、正直な言葉だと思います。ウラディミール・ホロヴィッツのようなピアニストの凄さは誰にでもすぐに分かります。もちろん、それはとても凄いことなのですが、ハスキルはコンサートホールに詰めかけた聴衆を興奮の渦に巻き込むような名人芸とは全く縁のない人でした。クララ・ハスキルは、ピアニストについて語る時に忘れてはならない。1895年にルーマニアに生まれ、1960年に亡くなったが、生前ヨーロッパでの彼女の名声は非常に高かった。7歳の時ウィーンでデビューし、14歳でパリ音楽院を一等賞を得て卒業した経歴ばかりでなく、少女時代からガブリエル・フォーレ、アルフレッド・コルトー、フェルッチョ・ブゾーニに師事し、フォーレ、ウジェーヌ・イザイ、ジョルジェ・エネスコらの大音楽家との交友が彼女の芸術に多くの養分を与えたことは想像に難くない。若い頃の彼女の演奏会は気心の知れた仲間内でのサロンという風情のものが大部分でした。彼女に転機が訪れたのは1950年代以降でした。パブロ・カザルスやチャーリー・チャップリンとの交友などを通して彼女の演奏が世間に知られるようになります。そう言う意味では彼女のキャリアはほとんど50歳をこえてからのもでした。名指揮者のカルロ・マリア・ジュリーニがロンドンのロイヤル・フェスティヴァルホールに、ショパンのピアノ協奏曲第2番のリハーサルのため訪れた時のことです。まだ時間も早くだれ一人いないはずの舞台で、一心にピアノをさらっているピアニストがハスキルでした。彼が入ってきたことに立ち上がったこの小柄で、繊細すぎる精神のピアニストに対して、ジュリーニは「まず最初に何をしたらいいでしょう」と尋ねました。そこで、ハスキルは「では自分がまず全曲を弾くので、後で意見を言って下さい」と言ってショパンの協奏曲をオーケストラのパートまで全てを、最初から終わりまでピアニッシモで弾き通したのです。ジュリーニによると、ダイナミクス・レンジは狭いのだが、音楽に込められたあらゆる思い、情感が全て完璧に表現されていたそうで、それは正に奇跡のような体験だったと、後に「自分自身の音楽体験の中の最高の出来事」として述懐しています。レコードのレパートリーは極めて広く、スカルラッティからバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ショパンからデ・ファリャに及び、そのいづれにおいても彼女の演奏は作品に生き生きした情感を与えている。みんなが凄いと褒めている演奏家を「これはつまらない」とダメ出しをするのはとても難しいことです。とりわけモーツァルトの作品では、彼女の鮮やかしい、しかもまろやかなタッチが生み出す音色はニュアンスに富んでいて、モーツァルトの精妙なる明暗の変化を見事に再現している。そして何よりも彼女の解釈を貫いている自由な精神が、演奏に闊達な雰囲気を与え、この天衣無縫の音楽家の作品に相応しい伸びやかな気分と美しい流動感をもたらしている。全く何もしていないように見えるほどに淡々と演奏しているのに、聞き進んでいくうちにじんわりと涙がこぼれてくるような演奏をする人でした。ハスキルが友ディヌ・リパッティを始めとして多くの若いピアニストに大きな影響を与えたのも当然であろう。我々は残されたレコードで今は亡きハスキルの演奏を味わえることを幸福と思わないで入られない。パウル・ザッハーの伴奏は決して派手さはないが、落ちついたとても良い響きをウィーン交響楽団から引き出していて、序奏の部分だけで気分がよくなる。そして、そこに入ってくるハスキルのピアノの気品、高貴、透明度、落ち着き、さりげなさ。節度を持って喜悦の時間が続く。ハスキルの慎ましさや優美さを存分に味わうことができる。聴き終える頃には、すっかり心が落ちつく演奏なのである。

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