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感性の冴えといきいきとした生命感にみちた、〝デイヴィスのモーツァルト〟 ― ベートーヴェンの「皇帝」やシューマンの「ライン交響曲」など、第1音が鳴った瞬間に耳が吸い寄せられる変ホ長調の音楽。モーツァルトにはこの調の曲が比較的多い。オペラ「魔笛」、交響曲第39番、ピアノ協奏曲第9、10、14、22番、2つの協奏交響曲に、ピアノ五重奏曲、そして、ホルン協奏曲2、3、4番などと、好んで聴いている曲がほとんど含まれる。モーツァルトとベートーヴェンの頃までは、曲によってC、D、E♭、F、G管など色々な長さのホルンやトランペットを持ち替えて演奏されていた。ホルン協奏曲はすべて変ホ長調で書かれていることから、「E♭」管がお気に入りだったようでもあり、また、フラット3つを管楽器が吹きやすいこともありましょうが、弦楽四重奏曲やヴァイオリン・ソナタにも多用しているのでそれだけが理由とは思えません。なにか特別な思いがあったのではないかと思っています。昔から、「調性」にはそれぞれ「色」があると言われてきた。ハ長調なら「白」、ト長調なら「青」、ニ長調は「緑」などなど、音階と虹の色合いを重ねられている。音階=スケールは虹の七色と同じく7音で出来ているし、長調の音階が「自然倍音」に近いため「明るく」「澄んだ」「鮮やかな」印象を与え、対して短調の音階が ― 短三度という〝微かな不協和音〟を含むため「悲しい」「暗い」「くすんだ」印象を与える。そうした性格を曲の理解の緒にして欲しくて、蓄音器のレコード鑑賞会の解説では、わたしはよく「変ホ長調」は「ヒーローっぽい」サウンドの代名詞になっていると、盛り込むことがある。さて、管楽器の扱い方では、「魔笛」には当時新鋭の楽器であったクラリネット、バセットホルンを重用するなどいくつかの顕著な特徴があり、変ホ長調でこれらの楽器が発する音の色と曲想が深くかかわっていることに一因があるからだと思われます。また交響曲でクラリネットを使ったのは ― 31、35、39、40番の唯4曲しかなく、それも35、40番では改訂版で使用、31番もニ長調というクラリネット的でない調性であることを考えると、この39番こそが曲想からクラリネットと不可分に練った唯一の交響曲といえるでしょう。作曲に当たってモーツァルトがこの曲に負わせた独特の位置づけが浮かび上がってきます。サー・コリン・デイヴィスと言えば、貧しい家庭に育ったためにピアノを買うことができず、そのために最も値段の安かったクラリネットで音楽の学習を開始したという話は有名です。デイヴィスはベルリオーズのスペシャリストとして若くして名をあげた指揮者で、ベルリオーズの主要作品を録音した最初の指揮者だ。今でこそサイモン・ラトルを初め英国人の指揮者がヨーロッパの主要オーケストラのシェフとして、活躍が著しいが、其の先駆者がデイヴィスだったのだろう。自分たちの仲間内でオケを作って指揮活動を始め、そして、ついにはオットー・クレンペラーが病気でキャンセルしたとき(1959年)に、その代役としてオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を指揮して大成功を収めと言う話も、これまた有名です。その成功によってモーツァルトの後期交響曲の発売が急遽計画されたものではないかと思われます。個々の作品では中庸の出来もあるが、若さゆえか、周囲からの期待からか、激しい起伏に富むドラマテックな演奏に驚かされる。後年のデイヴィスは、手堅く正統派の音楽作りをするというイメージがあるのですが、〝最初の一歩〟となる本盤などには、あざとい表現なども垣間見られて面白い。→コンディション、詳細を確認する
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