A STEREO SPECTACULAR ― リビング・ステレオ・シリーズの最高録音として名高いサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン」は、音響効果の優れたボストン・シンフォニー・ホールに鳴り響くオルガンと2台のピアノを含む大編成のオーケストラの響きを余すところなく捉えており、オーケストラもオルガンも明るく華麗な響きで、作品の持つ壮大な要素をあますところなく表現したハイファイ優秀録音として有名。オルガンと弦楽器の美しい響きで音楽が奏でられだすと、教会で聴いているような、天国で音楽を聴いているような演奏を聴いている印象を受けます。曲の後半は一転大爆発。コンサート・ホールに瞬間移動させられたかと錯覚する音響の渦中。サン=サーンスは練達の作曲技法で、様々な様式を巧みに取り入れて構成的な作品を書いている。時にはそれが禍いしてスタイルの品評会のようになってしまうこともあるが、この〈オルガン付き〉はサン=サーンスの最高傑作とも言うべきもので、壮大なスケールで描かれた巨大な建造物を思わせる交響曲だ。であれば、こうした珍演もまた、この曲の内蔵している一面。ミュンシュが遺した録音に接していると、しばしばライヴを目の当たりにしているような気分になる。そこには生々しい臨場感がある。彼はその著作『私は指揮者である』の中で、「コンサートは毎回頭脳と筋肉と神経のエネルギーを信じられないほど消耗させる」と書いているが、そうした全力投球の姿勢はレコーディングでも変わらなかったに違いない。ミュンシュの熱気あふれる指揮が、聴く者を圧倒的なクライマックスに導いてくれます。第2次大戦後のボストン交響楽団に黄金時代をもたらし、小澤征爾の師としても知られ、3回の来日歴もあるフランスの名指揮者シャルル・ミュンシュはゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターをつとめたミュンシュの音楽家としてのルーツであるドイツ音楽の演奏においても本領を発揮し、その一方で、ピエール・モントゥーが確立したフランス式の演奏様式の伝統を継承し、ボストン響をフランス音楽の演奏にかけては類のないアンサンブルに仕立て上げました。ボストン響の黄金時代を築き上げたミュンシュの代表作。ドイツ系の名指揮者ミュンシュにとってフランス音楽も重要なレパートリーだった。ミュンシュは自国の音楽に先天的共感を以って、この効果の難しい難曲を実に巧みに演奏し妙に現代風なダイナミックを強調しない点はさすがである。 彼の指揮にはもったいぶったところがない。最も調子の良い時の彼は、アルトゥーロ・トスカニーニとヴィルヘルム・フルトヴェングラーの相反する個性がひとつになったような境地さえ見せる。あるべきところにダイナミズムがあり、光彩があり、官能があり、歌がある。しかも、その息をつかせぬ張り詰めた緊張感、オーケストラが限界まで鳴り響いていて録音の古さを忘れさせる。スペックでは最新のデジタル録音が勝るはずでしょうが、指揮者の求める音楽に我武者羅に食らいついていこうとするオーケストラ、映像はないのに情景が浮かぶような音体験。ミュンシュならではの豪快でスケールが大きく、この曲のロマンティックでスペクタキュラーな持ち味を完璧に描き尽くしている。→コンディション、詳細を確認する
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