JP CALLIOPE VIC2171 アンドレ・ナヴァラ サン=サーンス 白鳥(輸入メタル使用盤)
商品番号 34-22439
通販レコード→日本ビクター《カリオペ ワン・ポイント録音》レッド・レーベル、グレイ文字盤
湖面に浮かぶ高雅な白鳥にも似て巨匠ナヴァラの弦はしみじみと表情豊かに歌いはじめる。 ― 小品というのは、ソナタなどに比べて短いし、シンプルで、弾く困難さは少ないようだが、実際には小品を聴かせるのは名人の技が必要。中でも《白鳥》は、音も少なく、飾りもなくシンプルで静かに淡々と弾く曲だから、難しいと言えば難しい。構成のしっかりしたベートーヴェンのソナタの方が下手でもそれなりに聴けるが、アヒルは白鳥にはならない。流石にアンドレ・ナヴァラの音色は非常に張りのある艷やかなもので、ダブル・ストッピングやハイポジションの難所をいとも鮮やかにさばく技術の切れ味も素晴らしい。帯の文句にある通り、表現が澄み切った秋の空のように晴朗かつ爽やかだ。誰でもその気持ちになる名盤。端正であると同時に自在感にも富み、どっしりと構えた安定感のあるフレージングと、そこから紡ぎ出されるコクのある表現が、実に魅力的な演奏だ。 ― いろんな流儀があるのは勿論、承知のうえだが、素人ながら考えると、音の安定に関しては、右手の小指への意識が大きい気がする。弓元で何となく支えているのではなく、小指に意識を持って弓をコントロールするところにナヴァラのボーイングのツボがあるようだ。弓に指がいつもついていてコントロールするともなくコントロールする状態が必要。弱音でのスムーズな弓の返しに大きく貢献する。水面下で力強く押し出しているからこそ、表面では波一つ立てずに穏やかな水面を白鳥は進んでいく。右の指を柔らかく弓に追随するように心がけると、《白鳥》の八分音符の一音づつの弓の返しの時も無用なアクセントをつけずに滑らかに弾ける。この《白鳥》を弾くために、ロングトーンと弓の滑らかな返しの特訓を強いる。左手の脱力は右手の問題とも関係していて、脱力がうまくいくと、右も左も余裕が持てるようになる。勢いだけで弾いている方が楽だが、これができないと《白鳥》はぶちこわしになる。脱力と柔軟性とバネのような弾力性、《白鳥》はつかず離れずのようなコントロールが必要。誰もが知っている名曲だからこそ弾きにくいことと、シンプルすぎるスコアであるため《白鳥》は難しい。 ― そして、鮮度の高いワン・ポイント・ステレオ録音で、弦を擦る弓の触感や松脂の飛沫すら感じさせるオン・マイクの生々しい録音が〝名人の弓さばき〟をあますところなく捉えている。フランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの同世代に活躍した、レオン・ボエルマン(Leon Boellmann, 1862〜1897)はフランスのオルガン奏者、作曲家。彼はウジェーヌ・ジグーの弟子。ということはサン=サーンスの孫弟子にあたる。若くして死んだわりに作品は多岐にわたるが、今日ではオルガンやピアノのための曲と並んで、チェロ曲が命脈を保っている。なんといっても必携なのが、ナヴァラが普及に務めた《チェロとピアノのためのソナタ作品40》。この曲は、ボエルマンが亡くなった年(1897年)に作曲され、フランスのチェリスト、ジュール・デルサール(Jules Delsart, 1844〜1900)に、捧げられた。フォーレに最も近いものがあり、ピアノの透明にキラキラ輝く伴奏に乗せて朗々とうたうチェロが魅力的なソナタが、なかでは一番人気。主題にセザール・フランクの影響がみられ、序奏ははゆったりと、主部は熱烈に構成されています。とくに優美で甘い第2楽章アンダンテは泣かせてくれる。サン=サーンスやフォーレの作品と並ぶ仏系チェロ・ソナタとして、もっと演奏されてもよいと思われる美しい曲想だ。同年生まれのドビュッシーとくらべて知名度にあまりに大きな開きがある。彼の名が埋もれたもう一つの原因はオルガニストであったこと。オルガン音楽は専門的な興味の対象とされて一般の音楽ファンから遠ざけられているところがある。ボエルマンはながらくオルガンのための『ゴシック組曲』の作曲家として紹介されてきたためにいつまでも無名のままでいる。その曲が素晴らしくても、マイナー扱いのオルガン曲をあえて聴く人は稀だ。終曲のトッカータが漫画映画のホラー場面のようで面白いだけに注目されないのが残念。本盤は、マルグリット・ロンの高弟アニー・ダルコとのデュオ。ダルコは、マルセイユ生まれのピアニスト。アルフレッド・コルトー門下だったアラン・マリオンの母親に音楽の手ほどきを受けた後、パリ音楽院でロンに学んだという。1946年のジュネーヴ国際音楽コンクールのピアノ部門で二位入賞を果たし、室内楽奏者として様々なアーティストと共演した。ソリストとしての腕も確かだったらしく、第二次世界大戦後のヨーロッパ各地のオーケストラと共演を重ねていた実績もある。チェロ・ソナタは曲も大人しい曲なので聞き込んで愛着が湧いてこないと良さが分かりにくいかも知れない。心が揺さぶられる濃厚な響きは、季節を少しづつ深めてくれそうです。
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