ボスコフスキーのもつ洗練された都会的なセンスと、そして楽しい音楽は安心して耳を傾ける事が出来る。 ―
私はあくまでヴァイオリニストが本職で指揮は趣味である。と言ったヴィリー・ボスコフスキーが60歳になったとき、〝この歳はヴァイオリニストとしては老年と言えるでしょうが、指揮者なら80歳で充実した年齢と言えるでしょう。したがって、私はこれから指揮することに次第に重点を置くでしょう〟と述べた。本盤は、ウィンナ・ワルツが骨の髄まで染みこむなど職人気質を持つボスコフスキーによる定番のシュトラウス・ファミリーやレハールではないワルツ集。ボスコフスキーの録音の中でもわりと珍しい部類のレコードで、ウィンナ・ワルツのスペシャリスト、ボスコフスキーの指揮で吹き込んだフランスのワルツ王、ワルトトイフェルのワルツとポルカ。オーケストラは、モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団である。ウィンナ・ワルツは、19世紀のウィーンで流行し〝ウィーン会議〟を通してヨーロッパ中に広まっていった3拍子のワルツ。ウェーバーは「舞踏への勧誘」と題したピアノ曲でワルツを初めて芸術音楽として紹介し、それを管絃楽に編曲したベルリオーズは交響曲の楽章にワルツを初めて登場させた。チャイコフスキーはバレエ音楽にワルツを組み込んだ。ウィンナ・ワルツにおける3拍子は、2拍目をやや早めにずらすように演奏されることで生じる、均等な長さを持たない独特の流動感にあるが、これは当時の演奏習慣ではなく20世紀中頃に成立した習慣である、とする見解もある。ワルトトイフェルは、フランスのパリを中心に活動したダンス音楽の人気作家でした。生涯に作った約260曲のダンス音楽の中には優美この上ない名作「スケーターズ・ワルツ」、シャブリエの人気交響詩をワルツ化してしまった「スペイン」、音楽的にも傑作と言われる「ダイヤモンドの雨」など魅力満点。同時期を生きたワルツ王ヨハン・シュトラウスに比べて、傑作と駄作の差が激しいのが難点ですが、独特の潤いに満ち、「フランスのシュトラウス」の名に恥じない輝きを放っていたが、印象主義音楽がパリを制する頃になると、時代の趣味から取り残されていくこととなって1899年に引退、奇しくも同年のシュトラウス2世の死によって、ワルツ熱は世紀末に一区切りを迎えた。シュトラウスを中心にウィンナ・ワルツやオペレッタ、モーツァルトの舞曲や、シューベルトの室内楽といったドイツ、オーストリアの作曲家が多く、またオーケストラも客演を別にすれば大半がドイツかウィーンのオーケストラを相手にしているボスコフスキーの録音の中では、フランスの作曲家に、フランス圏のモンテカルロ国立歌劇場管の組み合わせは恐らくこれだけではないだろうか。ただ、ボスコフスキーのもつ洗練された都会的なセンスと、フランス圏のオーケストラの洗練されたサウンド、そして楽しい音楽は誰もが安心して耳を傾ける事が出来るだろう。
from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード https://ift.tt/2YRXIK1
via IFTTT

