ボスコフスキー=ニューイヤーコンサートと云う既成概念を覆す ―
私はあくまでヴァイオリニストが本職で指揮は趣味である。と言ったヴィリー・ボスコフスキーが60歳になったとき、〝この歳はヴァイオリニストとしては老年と言えるでしょうが、指揮者なら80歳で充実した年齢と言えるでしょう。したがって、私はこれから指揮することに次第に重点を置くでしょう〟と述べた。彼はことにモーツァルトの曲を愛し、戦前はピアニストのリリー・クラウスとモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全曲を録音している。ボスコフスキーはモーツァルトをウィーン風に軽快に明るく何とも言えぬ美しい音色で演奏する。しかし、彼は何にもまして〝ワルツ王〟ヨハン・シュトラウスを好み、その音楽の権威であると自負している。1970年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を退団したが、かつてのシュトラウスのように〝立ち弾き〟で人気を博した新年コンサートの指揮は続けた。名手揃いのウィーン・フィルの面々が、いつになくリラックスした様子でシュトラウス作品の演奏に取り組むさまが、ライヴ盤を聴く度に目に浮かびます。20世紀のヨハン・シュトラウス2世の生まれ変わりとしてウィーン楽壇に齎した彼の功績は大きい。しかし、1979年秋に健康上の理由でこれを辞退したあとは伝統あるヨハン・シュトラウス管弦楽団の指揮者として活躍した。本盤は、そのころ東ドイツに赴き、指揮者としてドイツ・シャルプラッテンに残したシュターツカペレ・ドレスデンとのシューベルトの劇音楽《ロザムンデ》全曲。録音は1977年、ルカ教会である。ウィーンの郊外で生まれたシューベルトは、劇音楽の世界に大きな憧れを抱き、5つのオペラをはじめ、オペレッタ、戯曲のための音楽など未完成品も含めて全部で18の作品を書きました。しかし、それらの上演はほとんど顧みられることはありません。『ロザムンデ』の音楽は、ベルリン出身の女流作家ヘルミーナ・フォン・シェジーが書いた四幕物の戯曲『キプロスの女王ロザムンデ』に附曲したもので、1823年9月に作曲されました。劇そのものは今日散逸していますが、この劇に付随する音楽だけは美しいと当時から評判で、その40年後にシューマンによって発見され、今では様々な場所で演奏されるようになりました。現在『ロザムンデ序曲』と呼ばれる楽曲は二つあります。初演の際に使用された序曲は、シューベルトが別の作品「アルフォンゾとエストレッラ」のために作曲した序曲を転用したものでした。現在では「魔法の竪琴」が『ロザムンデ序曲』として演奏されることが一般的になっていますが、本盤では歌劇「アルフォンゾとエストレッラ」D.732の序曲が演奏される。序曲「魔法の竪琴」D.644は最後に収められている。さて、ボスコフスキーが指揮者として一流だったのかどうかは知らないが、この演奏は一流である。このオーケストラの素晴らしさと言ったらもう、指揮者の慣れにかかわらず、この水準で音楽を奏でることができたのだ。第3幕と第4幕の間で演奏される間奏曲は、シューベルトの作曲した中でも特に名高いもののひとつで、弦楽四重奏曲第13番『ロザムンデ』D.804や即興曲変ロ長調D.935-3にも流用されている。この間奏曲なんて、どんな偉大なマエストロがやっているのだろうと思えてしまう。ボスコフスキーもウィーンの歌劇場のピットで長く演奏していたのだから、イレアーナ・コトルバシュの可憐な歌をとても良い雰囲気で伴奏している。ライブツィヒ放送合唱団も、素晴らしい出来映えだ。後半、合唱が続くところも、全く厭きさせずに引っ張っていく手腕はさすがだ。
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