FR COLUMBIA 33FCX493 ディヌ・リパッティ ショパン ピアノソナタ3番

投稿日:
34-11977

商品番号 34-11977

通販レコード→仏ダークブルー銀文字フラット盤

香しくも爽やかでデリケートなショパン ― 夭折の天才が残した、歴史的にも貴重な記録が刻まれた一枚。と、案内するにとどまりがちなのは、大多数はその早すぎる死の残念なことが先立つからだろう。ディヌ・リパッティは、晩年、持病の白血病と闘いながら命を削る思いでレコーディングに取り組んでいたと言います。彼の演奏は録音でしか聴くことができませんが、 ショパンに関しては、14のワルツ集、ピアノ・ソナタ第3番や、舟歌、ノクターン第8番、マズルカOp.50-3、エチュードOp.10-5,Op.25-5の録音が残っています。いずれも彼の最晩年の録音で、軽やかでありながら華麗、しかも燃えるような情熱を内に秘めた唯一無二のパフォーマンス。既に迫り来る死を避けがたい運命と悟っていたからなのか、これらの録音から、そのような病の苦悩を微塵も感じさせないのは、芸術家としての精神的な強さを感じます。多数の名演奏、名録音が存在するショパンの名曲でもあり、まだ聴いてみたい新しい録音もあるというのに、EMIからの正規盤がカタログから欠かされたこともないのに、同じ日の録音だろうなと思ってもイタリア盤など未知のレーベル盤であっても聴いてみたくなる。リパッティの演奏には、安易な修飾や形容をこばむ音楽自体の生命、ヴォリュームと存在感が潜んでいる。耳傾けているとその音楽に織り込まれ、だが同一化し、知らず知らずに一緒に歌いはじめていることがある。新鮮な気持ちでもって、何度でも追体験したいのだ。リパッティが、20世紀のピアノ演奏史に燦然と輝いているのは、単に残された数少ない録音の素晴らしさからだけではと思います。リパッティのピアノ演奏の魅力は、生来のバランス感覚に基づいた清潔な詩情とデリカシーでしょう。 彼のピアニズムを一言で言い表すとすれば、繊細、清潔、透明、端整といった表現が相応しい。ピアノ演奏技術も「当時としては」という保留なしに完璧で、その音楽の中に宿る奥深い真実を探り当てる独特の鋭敏な感性を併せ持った、まさにピアノの天才、詩人でした。その類い稀なセンスによって、爽やかな詩情とファンタジーを、控えめでありながらも過不足なく伝えてくれる。その天国の花園を思わせる香しくも爽やかでデリケートなショパン演奏は、彼が我らに残してくれた大切な宝物です。それも、リパッティは録音に対しては何時も真剣で一枚のレコードが完成するまでは何度もテイクを重ね、それがより完成度を高めて、結果として強い説得力を生んだと云われている。リパッティが残したショパンの中では、「ワルツ集」の演奏が一番素晴らしいものであることは誰しもが同意するでしょう。そして、この「舟歌」はそれにつぐ素晴らしい内容です。ベートーヴェンはモーツァルトを尊敬し、ベートーヴェンの背を見てシューベルトは成長し、歴史に埋もれていたバッハを再発見し、「マタイ受難曲」の復活をはたしたメンデルスゾーンの、そのすぐ横に、ブルックナーの壮大な音楽が佇んでいる。それに反して、ショパンは先駆者も持たず、後継者も持たなかった屹立した存在です。録音が非常に少ない夭折の天才ピアニストが今日これほど多くの場面で語られるのは、そのSP録音された演奏一つ一つが傑出しているからです。グールドのように録音に専心した様子もなく、リパッティの演奏を聴くということは、作曲者と直接向き合うかのように感じられるのだ。今なおショパン弾きとして語り継がれているという事実が、リパッティの才能の偉大さを逆説的に物語っていまいか。

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