父親がどちらで、息子はどちらを弾いているのか聴き分けることが出来ますか ― 音楽の父、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのヴァイオリン協奏曲といえば、完全な形で現在に残されているものは、このレコードに収められている3曲だけである。つまり、2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調(BWV1043)を除くと、ひとつのヴァイオリンのための協奏曲が2曲あるだけにすぎない。しかし実際にはバッハは、もっと数多くのヴァイオリン協奏曲を作曲したものらしい。だが、それらは失われるとか散逸されるとかで、現在まで残っていないのだと考えられる。バッハ自身、ヴァイオリンの演奏に於いても並外れた腕前をもっていたのと、ケーテンで多くの合奏曲を作曲する機会があったこと、そして、当時の独奏協奏曲の主流がヴァイオリン協奏曲であったことを考えれば、このような論理が成立する可能性が十分にある。しかも、バッハの現存するクラヴィーア協奏曲のうちのヘ短調(BWV1056)とニ短調(BWV1060)がともにヴァイオリン協奏曲を原曲とするという説が現在では極めて有力になっている。それはともかくとして、バッハのヴァイオリン協奏曲はイタリアのヴァイオリン協奏曲の様式を無視しては成立しなかったものだろうが、それと同時に、対位法的な書法や感情面にドイツ的なものがあることはもちろん否定出来ない。2曲の独奏ヴァイオリン協奏曲でも、そうしたことがはっきりと認められよう。ソ連の名手オイストラフがステレオで録音したバッハのヴァイオリン協奏曲集。1番と2番はダヴィッド・オイストラフの弾きぶりによる演奏。2台の協奏曲はオイストラフ父子が共演。父子ならではの緊密な演奏を楽しめます。往年のイギリスの名指揮者ユージン・グーセンス指揮するロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との共演で、往年の濃厚なバッハの魅力を味わえる、格調高くスケールの大きい名演です。ウェンブリー・タウン・ホールは、ドイツ・グラモフォンがロンドンで録音を行うときのスタジオとして、1960年代に主に活用され名盤が多い。エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団がヨーロッパ・ツアー中に録音した、チャイコフスキーの交響曲第4番が知られるだろうし、ウィーンのムジークフェラインザールで録音した第5番、悲愴と音響を比較しやすい。コンサート・ホールに比べて小さく、反響の少ないスタジオで、オンマイクで、しかもエフェクトなどで音をいじっていない録音のようで、響きは適度にあり、柔らかさを持つがぼやけ感はない。低域からどっしり感のある好録音。この息子のイーゴリも含めてストラディバリウスから引き出してくる音が手に取るように聞こえてきます。名器が放つ高音域のキラキラした倍音、楽器から音が飛び出してくるエネルギー、音自体に備わった凝縮感といったものが、ハッキリと判ります。静かなところで、目をつぶって耳を傾けていると、いつしかタイムスリップした気分になって、あの巨匠オイストラフが、自分だけのために目の前で演奏している。本盤は盤質も良好で、良質の録音は生々しく聴こえてきます。
from 100年後でも聴いて楽しいアナログ名盤レコード http://bit.ly/31NXt17
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