GB DECCA SPA229 エルネスト・アンセルメ エイドリアン・ボールト ムソルグスキー 展覧会の絵 プロコフィエフ キージェ中尉 3つのオレンジへの恋

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34-18395
アンセルメの「展覧会の絵」が悪いはずはない。 ― 精緻で色彩的な演奏で一時代を築いた名指揮者エルネスト・アンセルメは音楽の流れを誇張せずに、むしろなめらかに展開する指揮者で、リズム感はあくまでも鋭いが、音楽の変化の運営の実にうまい人である。アンセルメは、ディアギレフ率いるロシア・バレエ団の指揮者として、ストラヴィンスキー「兵士の物語」「うぐいす」「プルチネルラ」、デ・ファリャ「三角帽子」、プロコフィエフ「道化師」、サティ「パラード」などの20世紀前半の重要作を次々初演し、また何よりもスイス・ロマンド管弦楽団の創設者(1919年)にして音楽監督としてこのオーケストラを世界的な存在に育て上げたことで知られています。スイス人アンセルメは、ベートーヴェンよりも、エスプリのフランス音楽や、複雑な拍動をさらりと聴かせたロシア急進派の音楽で名を博した。故にかロシアの作曲家、ムソルグスキーの音楽をバスク人の血を引くラヴェルがオーケストレーションした「展覧会の絵」は、数多いアンセルメの録音の中でも殊更評価が高く、ステレオLP時代を通じて「展覧会の絵」の代表盤とされていた歴史的名盤です。この曲の足取りにアンセルメが選んだテンポは遅めだが、それが絵画のシチュエーションを浮かび上がらせ、ラヴェルの精緻なオーケストレーションを再現するのに効果的に働いている。アンセルメは作品を劇的に解釈せず、むしろクールな眼で見つめる。モノラル時代に一世を風靡したアルトゥーロ・トスカニーニ盤などの熱血アプローチとは異なり、むしろ客観的な視点でラヴェルの精緻なオーケストレーションの妙を克明に描き出す冷静さに耳がひきつけられます。 彼の知的な解釈と豊かな人間性が結びついたところに独特の雰囲気を持った演奏が生まれた。イマジネーティヴな演奏ではないが、この曲の代表的な演奏にあげられる理由もそこにある。指揮者のニコラウス・アルノンクールが、かつて『音楽はその土地の言葉で、何かを語っています。』とレクチャーしていますが、この録音には他の誰の指揮したものよりもロシアが気分としても色としても生かされているのに驚く。スラヴ人の血をアンセルメは音楽を通じて、肌にじかに感じていたのだろう。1946年から専属契約を結んだデッカ・レーベルへの膨大な録音を行ない、フランス音楽、ロシア音楽、20世紀音楽、そしてドイツ・オーストリア音楽までを網羅。録音魔だったアンセルメは、ヘルベルト・フォン・カラヤンと同様、録音技術の進歩に合わせて得意曲の再録音を積極的に行ないましたが、この「展覧会の絵」はその中でも極端な例で、1947年のロンドン交響楽団とのSP録音に始まり、スイス・ロマンド管とは1953年(モノラル)、1958年(ステレオ)、そしてこの1959年録音と12年間の間に4回も録音を重ねています。英DECCA社の廉価版シリーズは、1960年前後に第1の廉価盤シリーズ「Ace of Clubs/Ace of Diamond」を発売します。その後、1970年代に入ると第2の廉価盤シリーズ「Eclipse」を発売します。そして、第3の廉価盤シリーズとして「The World of Great Classics」として「SPAシリーズ」を発売します。本盤は、その第3の「SPAシリーズ」なのですが、クラシック入門編といった趣で演奏者の全然違う録音を組み合わせた編集も多く、コレクション的には無価値ですが、例えばエルネスト・アンセルメの「悲愴」のリアルステレオは英国盤ではこのレーベルだけですし、同じくアンセルメのブラームスやシベリウスなどの珍しい録音もオリジナルに近い金属原盤を用いており、音質的にもSXLシリーズより僅かスッキリした感はありますが、DECCA社らしい高音質(Hi-Fi)となっています。同じソースでも、SXLオリジナルの⅕~⅒程度の費用で入手できるので、コストパフォーマンスの高い盤としてオススメできます。

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