陽光が燦々とふりそそぎ、ふわりと温かい風が吹いている。 ― ヴィンテージ盤で人気のある、サー・エイドリアン・ボールトのブラームス全集の中の1枚。ドイツ系の指揮者とは違う、流麗で美しい響きを持ったブラームスだ。速いテンポで始まる第1楽章の澄み切った佇まい、そよぐ風のような詩情と品位溢れる第2楽章、リズムの煌めきが美しい第3楽章、ブラームスの情熱が十分に内炎する終楽章の落ちつき…、どの楽章も人生を極めた人間の尊さに満ちた演奏といえるでしょう。これほど生き生きとして、たっぷりと歌わせる第2番に出会えたのは、何という幸せなことか。ブラームスは「渋くて、重々しい」ものとの通念を、きれいに拭き払ってくれたレコードでした。陽光が燦々とふりそそぎ、ふわりと温かい風が吹いている。録音時点で82歳、ボールトなんて英国作曲家を得意とする老人にすぎないと思っていたが、とんでもない失礼であった。ヘルベルト・フォン・カラヤンさえ到達できないこのうまさは特筆ものである。年輪と共に、その音楽にも深みを増すのが指揮者の魅力の一つ。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーより僅か3歳若いだけのボールトが1970年代まで生き長らえ、われわれに録音を残してくれたのは嬉しい限りで、これこそが20世紀録音の遺産ともいえるでしょう。うまい言い回しをすれば、このブラームスのシリーズはまさに燻し銀の味わい。82歳のボールトによる、年代物のワインのような真に熟成された音楽が味わえます。人生の深奥を極めたボールトによる、威厳と慈愛に満ちた心に染み入る演奏は絶品だ。表紙に見るとおり、風貌からして仙人のようなボールトだが、このブラームス・交響曲第2番は素晴らしい。音のすべてに味がある。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団もそれをよく理解してまさに紡ぎだす音楽である。ロンドン・フィルもなぜかうまい。乗りに乗ってる感じだ。畳み込むティンパニーも痺れさせてくれる。ブルーノ・ワルター、クラウディオ・アバドといったメジャーな演奏にばっかり目を向けていた私にとって衝撃的な出会いであった。多くの人に聴いてもらいたいと思います。決して後悔しませんよ。
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